幻の第四作目の存在
『愛の妙薬もう少し…』というタイトルをご存知ですか?
森さんの著書の中でも特に人気が高い、通称プリマドンナシリーズ(あるいは鮎村尋深村&守泉音彦シリーズ)の第四作目にあたる作品だと言われています。
存在が初めて公の場で明かされたのは(恐らく)、97年に再刊行された『モーツァルトは子守唄を歌わない』に収録されたあとがきです。この中で森さんは以下のように述べています。

 実は、『愛の妙薬もう少し…』という第四作がある。選んだオペラはドニゼッティである。だが、こんな状況で出版できようはずがない。原稿のコピーを製本して、まるで同人誌みたいなものを作ったが、装幀に凝ったばかりか、音楽家たちから序文、解説、推薦文、抗議文、追悼文などを書いてもらった豪華版で、おそろしく費用がかかり、それらの関係者だけに配っておしまいとなってしまった。
 僕の本はことごとく絶版街道まっしぐらだから、どれも幻コレクションになり得るが、これこそ本当の“幻”といえよう。もう最近では、幻を作ることが快感にさえなってきた。これからは小説界のインディーズと呼んでくれ(インディ・ジョーンズのことじゃありません。念のため)。


引用元:ワニの本刊『モーツァルトは子守唄を歌わない』
新版ボーナストラック「もうかるとは子供たちは思わない」P.247 L.14〜P.248 L.3
復刊ドットコム
存在が公表されてから早九年の歳月が経過しようとしていますが(2006年現在)、一般の出版社から刊行されることはありませんでしたし、森さん自身が再度自費出版したという噂も聞きません。
よって現段階で入手することは、まず不可能と言えるでしょう。

ですが、上記のあとがきを読んで、「読みたい!なんとかして刊行して欲しい」と考えている読者は多くいます。それを顕著に表しているのが「復刊ドットコム」です。
復刊ドットコムは「絶版になってしまった書籍を復刊させよう」という趣旨を持ったサイトです。読みたい作品をリクエストし、投票の結果次第で復刊交渉が開始されます。このサイトによって、森さんの著作『モーツァルトは子守唄を歌わない』と『ベートーヴェンな憂鬱症』は、2005年末に復刊されました。
『愛の妙薬もう少し…』の投票ページも、数年前に開設され、得票数は四百を超えています。これは文芸書のみでカウントすれば5位以内に入る多さです。 復刊交渉は2002年にスタートし、2004年末には、森さんのコメントも掲載されました。

著者の先生から「この作品は一般向けに書かれた作品ではない事情があります。読者の皆さまが望まれるなら、市販に供することのできる形に書き下ろしし直します」とのご返答を頂きました。
引用元URL:こちら

この知らせを喜んだファンはどれだけいたでしょうか。実際、私もパソコンの前で大声をあげた一人です。
ですが、それ以降の動きは全くありません。
いや、正確には、二冊の復刊を挟んだのですが、『愛の妙薬もう少し…』の交渉状況は更新される様子がありません。
まもなく二年が経過しようとしています。このまま三年目を迎えることになってしまうのでしょうか?
尤も、復刊ドットコムは数多くの作品の復刊を手掛けているので、森さんの本ばかりを刊行する訳にもいかないということも、分かってはいるのですけれど。
ううっ、もどかしい。
シリーズ第3作『蝶々夫人に赤い靴』が発表されて、既に十五年。読者は一体いつまで待てば、尋深と音彦の行方を知ることができるのでしょうか!?
これから……
一刻も早く『愛の妙薬もう少し…』を読むにはどうすれば良いでしょうか。
復刊ドットコムが動き出すのを静かに待つ、というのも一つの手段だとは思いますが、まさか、このまま話が立ち消えてしまうんじゃ?という不安を払拭することが出来ません。
ファンとしてできることは、例えば以下のようなものがあります。

  • 復刊ドットコムに嘆願書を送る ――> 投票それ自体が嘆願書の様なものですから、あまり意味がないかもしれません。

  • 出版社に嘆願書を送る ――> 出版社の特徴などをよく調査すれば、可能性はあるかもしれませんが、今は出版、特にミステリー不況だそうですから、すんなりと事が運ぶとは思えません。

  • 上記以外の手段 ――> ……。


  • いずれにしろ、何らかの行動は起こしたいと考えている今日この頃です。