夢はトリノをかけめぐる
作品DATA
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  • 出版社 光文社(ISBN:4334974996)
  • 発刊日 2006/05/25
  • 文庫化 未定
  • 文庫発刊日 未定
  • お薦め度 ☆☆☆
  • お気に入り指数 ☆☆☆☆☆
作品Outline
いんちき作家――、通称「おっさん」の飼いネコである夢吉の身に、異変が起きた。 或る朝起きたら、本来はネコである「僕」が、人間の姿をしていたのである。
人間になってしまった「僕」に、ネコ時代のような、だらだらとした生活なんぞさせたくない「おっさん」は、冬季五輪挑戦を提案する。
戸惑い気味の「僕」に対し、「おっさん」は、『ネコだからうまくいくこともあるかもしれんじゃないか』と、楽観的だ。
かくして、「僕」の無謀な挑戦が始まる。

「僕」と「おっさん」が冬季五輪の関係者を訪ね、そのノウハウを学ぶ入門編と、選手としての参加は断念し、冬季五輪会場での取材を元にした観戦編がセットになったスポーツノンフィクション。(但し、一部にはあからさまなフィクションが含まれる)

作品Review
冬季の五輪競技に興味があって、尚且つ、或る程度の年齢に達した人ならば、これ程に楽しい本はありません。
スキージャンプが好きな人なら、更に上を行く面白さを堪能できます。
全ての条件に×が付く人でも、東野さんのファンならば、問題ないでしょう。五輪の話題が盛りだくさんなエッセイ集、という感覚で楽しめます。

この作品には目次がないので、章単位の簡単な内容を紹介しておきます。

  • 1章--冬季戦技教育隊(通称「トウセンキョウ」)
    トウセンキョウは、陸上自衛隊の冬季専門部隊だが、実質的には、オリンピック選手を育成している。
    バイアスロン・クロスカントリーの紹介。
    冬季戦技教育隊の広報担当である中村忠さん、バイアスロンの目黒香苗さん、クロスカントリーの曽根田千鶴さんへのインタビューを中心に構成されている。
  • 2章--スキージャンプ1
    札幌五輪における日本選手の活躍・飛型の変遷・日本ジャンプ界の栄枯盛衰が紹介されている。
    『鳥人計画』執筆時に取材依頼をした葛西紀明選手、長野五輪の団体戦に金メダルをもたらした原田雅彦選手・船木和喜選手など、ジャンプ史に名前を残す選手の話題が、多数盛り込まれている。
  • 3章--スキージャンプ2・カーリング
    ジャンプスポーツ少年団の紹介。
    調布ジャンプ少年団に所属する内藤和大君・智文君兄弟と、父親である内藤茂さんへのインタビューを中心に構成されている。

    東京カーリングクラブの紹介。
    東京都カーリング協会事務局長である倉本憲男さんへのインタビューを中心に構成されている。

  • 4章--ボブスレー・リュージュ
    ボブスレー・リュージュの紹介と札幌ウィンタースポーツミュージアムでの体験記。
    北海道ボブスレー・リュージュ連盟の役員へのインタビューを中心に構成されている。
  • 5章--トリノ五輪観戦記
    ・カーリング競技観戦記
    ・ジャンプ団体戦観戦記
    ・女子フィギュア競技(ショートプログラム)観戦記
    ・スノーボードパラレル大回転観戦記
    ・「おっさん」のスノーボード実践記
    ・元五輪選手である木村公宣さんとの対談記
    ・アルペン女子大回転観戦記
    ・オリンピックストア観察記
    ・バイアスロン観戦記

    余禄
    ・「おっさん」は、旅の伴に、宮部みゆきさんの『蒲生邸事件』と奥田英朗さんの『最悪』を選び、「僕」から、「おいおい、読んでなかったのか」と呆れられる。
    ・「おっさん」の手荷物にナイフが入っていたために足止めを食らい、飛行機の出発を遅らせてしまう。だが、迎えてくれたスチュワーデスは、「このたびはおめでとうございます」と言ってくれる。
    ・日本の取材クルーから、日本選手への応援メッセージを依頼された「おっさん」だが、無視する。ところが、同行した編集者、黒衣君からTBSのクルーだったことを知らされ、応援コメントの振りをして、ドラマ『白夜行』の宣伝をすれば良かったと後悔する。
    因みに、この取材クルーは、「おっさん」が何者かを承知していない。
    ・海外メディアから、「リュック・ベッソンの映画のストーリーを作った人だろ」と声を掛けられ、インタビューを申し込まれるが、「ノー」とだけ答える。

  • 6章--「おっさん」の提言
    トリノから帰国した途端に、ネコに戻ってしまった「僕」が、「おっさん」の語る、冬季五輪への提言に耳を傾ける
2006年5月21日にup