浪花少年探偵団2
作品DATA
  • 出版社 講談社(ISBN:4062065789)
  • 発刊日 1993/12/03
  • 文庫化 講談社文庫(ISBN:4062634120)
  • 文庫発刊日 1996/12/15
  • Detail 内容:しのぶセンセは勉強中/ しのぶセンセは暴走族/ しのぶセンセの上京/ しのぶセンセは入院中/ しのぶセンセの引っ越し/ しのぶセンセの復活
    作者のあとがき / 文庫の解説は西上心太さん
    文庫化の際に『浪花少年探偵団・独立編 しのぶセンセにサヨナラ』と改題
  • お薦め度 ☆☆☆
  • お気に入り指数 ☆☆☆☆
作品Outline
大阪大路小学校6年5組の児童を卒業させた竹内しのぶ、通称「しのぶセンセ」は、兵庫県の大学に内地留学して自己研鑽に努めるが、どこに居ても、何をやっても、「事件」との縁だけは切れずにいる。
自動車教習所に通えば、事故を装った殺人事件に巻き込まれ、東京に行けば、誘拐事件に遭遇してしまう「しのぶセンセ」の、新境地での活躍を追う。

『浪花少年探偵』後の竹内しのぶが、再び教壇に立つまでの足掛け3年間を描いた、連作短編推理。

作品Review
『浪花少年探偵』に比べると、「大人の事件」が多くなっていますが、大路小学校時代の教え子達は、相変わらず、「しのぶセンセ」を困らせてばかりです。
  • しのぶセンセは勉強中
    ソフトボールの試合で、助っ人として活躍したしのぶセンセは、相手チームの会社経営者、西丸商店の会長に気に入られ、自分の会社で働いて欲しいと懇願される。
    教師を続けるつもりのしのぶセンセは固辞するが、その矢先、西丸商店の従業員が起こした転落事件に遭遇してしまう。
    オフィスオートメーション化が急激に進んだ時代の悲劇を描いた物語です。
    中高年層のパソコンスクール通いが、ニュース番組でも頻繁に取り上げられた時代でもありました。年配者の遅れた感覚を哄笑する若者だって、2〜30年後には、同じ憂き目に遭うのでしょうね。
  • しのぶセンセは暴走族
    しのぶセンセは、かつての教え子である原田郁夫の母親から、運転の「特別レッスン」に誘われた。二人が通う自動車教習所の教官が、指導をしてくれると言う。
    ところが、原田の母親は「特別レッスン」の最中に事故を起こし、教官が重症を負ってしまった。
    私が普通免許を取得した頃は、自動車教習所教官の横柄な態度が、しばしば話題になったものでした。しのぶセンセのように、腹に据えかねて喧嘩をしてしまった、という話も、偶にですが、耳にしました。
    私は、所謂「飛び込み」で免許を取得しましたが、原田郁夫の母親としのぶセンセの会話に、当時の苦労が蘇りました。
  • しのぶセンセの上京
    東京に転居したかつての教え子、中西雄太の手紙に不安を覚えたしのぶセンセは、友達の結婚式に出席するついでに、彼の家まで足を伸ばすことにした。
    穏やかならぬ雰囲気が立ちこめる中西家―、それもそのはずだ、何と雄太の弟が誘拐事件に巻き込まれていた。
    謎解きのポイントがしっかりと提示されているのですが、気付かずに読み過ごしてしまいました。
    しのぶセンセの、「小学校の先生らしい」活躍と推理が光る作品です。
  • しのぶセンセは入院中
    急性虫垂炎で入院したしのぶセンセは、帯状ヘルペスを罹患した、口やかましい老婆と同室になる。
    老婆―、藤野の婆さんの嫌味な言動にうんざりするしのぶセンセだが、その矢先、婆さんの家に泥棒が入って一騒動が持ち上がった。
    大阪の、ケチで気丈なお婆さんが笑わせてくれます。
    見合い相手の本間義彦がこの回も登場しますが、初登場の時には凛とした気性だった彼が、回を重ねる度に、頓馬になって行くのはどうした事でしょうか!?
  • しのぶセンセの引っ越し
    男が強盗に入った先で反撃に遭い、殺されてしまう。漆崎刑事達は、正当防衛であるか否かの捜査を始めるが―。
    「センセ、やっぱり勘が鈍ってるな。前やったら、もっと子供の扱いがうまかったで」と言われてしまうしのぶセンセですが、推理の方の勘は、相変わらず冴え渡っています。
    老女版『容疑者Xの献身』とも呼べそうな雰囲気を持った、思わずホロリとさせられる作品。
  • しのぶセンセの復活
    2年間の内地留学を終えて現場に復帰したしのぶセンセだが、児童を思うように指導できない。しかも、そのクラスでは「いじめ」も行われていた。
    子供同士のトラブルと映ったいたものが、実はその背景には、大人の男女の相克があった、という物語です。
    完全復活したしのぶセンセは、ここでも見事な手綱さばきを見せますが、これがシリーズの完結篇かと思うと、寂しい限り―。
著者は、『浪花少年探偵団2』の「あとがき」に以下のような言葉を残しています。
(『浪花少年探偵団』が単行本化された時点で)しのぶセンセシリーズはおしまいにするつもりでした。(中略)
そして今度こそ、これで終わりにしようと思います。その理由はいくつかありますが、最大のものを一つあげるとすれば、「作者自身がこの世界に留まっていられなくなったから」ということになるでしょう。(中略)
作者だって少しは変わったって不思議はないわけで、その変化によって、作品を描き続けられなくなることだってありうるのです。
しのぶセンセシリーズが好きだった私には、かなりショッキングな「あとがき」となりましたが、今回、改めて読み直してみて、作者の心情がいくらか理解できるようになりました。
ただ、素直に楽しめる作品ではあるので、気まぐれにでも、しのぶセンセの「その後」を教えてもらえれば、それはそれでとても嬉しい事ではありますが…。
2005年9月28日に更新
しのぶセンセのProfile
  • 姓名 竹内しのぶ(25歳)
  • 職業 小学校教諭
  • 容姿 エリートの本間と刑事の新藤がしのぶを巡る恋の鞘当てを演じるぐらいだから、なかなかの美人。だが、丸い輪郭と、明朗快活過ぎる性格が災いして、教え子達には過小評価されている。
  • 人物評定 猪突猛進・直情径行型人間。脳みそまでが筋肉で出来ていそうな体育会系キャラだが、周囲で頻発する事件をバッサバッサと解決して行くところから察すると、それなりの優秀さは持ち合わせているようだ。
    大阪大路小学校6年5組の児童を卒業させた後は、兵庫県の大学へ内地留学して勉学に勤しむも、事件塗れの日々からは脱却できずじまい。
  • 未来展望 本間と新藤、しのぶがそのどちらを選ぶかが大いに気になる所だが、傀儡師である東野圭吾が役を降りてしまった為に、想像と言う名の妄想を巡らすしかない現状。現場復帰後も事件三昧の日々を送っているなら、新藤に勝機がありそうだ。
  • しのぶセンセが解決した事件を紹介した書籍
    『浪花少年探偵団』『浪花少年探偵団・独立編 しのぶセンセにサヨナラ(原題は'浪花少年探偵団2')』
  • テレビ出演 NHKがドラマ化 山田まりや(竹内しのぶ) / 細見大輔(新藤雅美) / 岸本祐二(本間義彦) / 他
『浪花少年探偵団2』の登場人物一覧
竹内しのぶ(25歳〜28歳) 小学校教諭・独身
兵庫県の大学に内地留学中
田中鉄平:中学生・しのぶの教え子 / 原田郁夫:中学生・しのぶの教え子 / 村井警部:大阪府警捜査一課の班長 / 漆崎刑事:大阪府警捜査一課勤務 / 新藤:大阪府警捜査一課勤務 / 本間義彦:K工業の幹部候補生・しのぶの見合い相手 / 竹内妙子:しのぶの母親
■ しのぶセンセは勉強中
米岡伸治:西丸商店の販売部長・転落死体で発見される /  西丸仙兵衛:西丸商店の会長 / 西丸昭一:仙兵衛の息子・西丸商店の社長 / 富井:西丸商店の従業員 / 大友福子:西丸家の家政婦 / 森田:西丸商店の守衛
■ しのぶセンセは暴走族
原田日出子:原田郁夫の母親・『大阪グリーン自動車教習所』に通っている / 若本:『大阪グリーン自動車教習所』の教官 / 小林:『大阪グリーン自動車教習所』の配車係 / 松原宗一:生野区の資産家・地主・未明に強盗に入られ、高額の金品を奪われる
■ しのぶセンセの上京
中西雄太:しのぶセンセの教え子・父親の仕事の都合で東京に転居 / 中西氏:雄太の父親 / 中西夫人:雄太の母親 / 中西景子:雄太の姉・高校生 / 中西利広:雄太の弟・小学生
■ しのぶセンセは入院中
畑中弘:しのぶセンセの教え子・中学生 / 藤野の婆さん:煙草屋を経営・帯状ヘルペスで入院している / 藤野与平:藤野の婆さんの夫
■ しのぶセンセの引っ越し
松岡稲子:一人暮らしの62歳 / 永山和雄:松岡稲子宅に強盗に入るが反撃されて死亡する / 安西芳子:永山和雄の内縁の妻 / 安西千鶴:芳子の娘・美少女
■ しのぶセンセの復活
渋谷淳一:しのぶが担任する文福小学校4年2組の児童 / 上原美奈子:しのぶが担任する文福小学校4年2組の児童 / 芹沢勤:しのぶが担任する文福小学校4年2組の児童 / 中畑先生:文福小学校4年1組の担任教師 / 掛布先生:文福小学校4年3組の担任教師 / 渋谷淳一の母親:PTA役員・口やかましい / 芹沢勤の母親:若々しく垢抜けている・生命保険会社の外交員 / 山下教諭:渋谷淳一らが3年生の時の担任教師