仮面山荘殺人事件
作品DATA
仮面山荘殺人事件
  • 出版社 徳間書店/徳間ノベルス(ISBN:4191544071)
  • 発刊日 1990/12/31
  • 文庫化 講談社文庫(ISBN:4061859668)
  • 文庫発刊日 1995/03/15
  • Detail 文庫の解説は折原一さん
  • お薦め度 ☆☆☆☆
  • お気に入り指数 ☆☆☆☆
作品Outline
森崎製薬の社長、森崎伸彦所有の山荘に8人の男女が集まった。森崎家の女婿となる筈だった樫間高之も招待されていた。伸彦の長女であり高之の婚約者でもあった朋美は、三箇月前に事故で亡くなっている。
早世した資産家令嬢の思い出を偲ぶ意味合いも兼ねた、避暑地での懇親会。だが、その和やかな空気を一変させる出来事が起こった。山荘に、逃亡中の銀行強盗犯が侵入して来たのである。
軟禁状態に置かれた8人に極度の緊張が強いられる中で、更なる悲劇が訪れる。メンバーの一人が、刺殺体となって発見された。しかもその状況は、侵入者の犯行とは考え難いものだった。残された7人の中に犯罪者が存在するのか!?

驚愕の結末が用意された、本格長編推理小説。

作品Review
本書を初めて読み終えた時に先ず思ったのは、「東野圭吾さんもこういう傾向の作品を書くんだ…」という事でした。
文庫版の解説を書かれた折原一さんは、全く逆の事を述べておられるので、私が不見識なだけだったのでしょうが、正直言って、唖然となりました。
「これはズルイよ、東野さん!」―。
1990年12月に刊行された徳間ノベルスの帯には、「空前絶後のドンデン返し!」と記されていました。この言葉に嘘はありません。
ただ、私から見ればアンフェアぎりぎりだった書き方に、少しばかり、腹を立ててしまいました。

と―、批判めいた事を並べ立てていますが、
「これからの東野圭吾さんに、どんな作品を書いて欲しいと希望するか?」と尋ねられれば、
私は迷う事なく、「『仮面山荘殺人事件』や『ある閉ざされた雪の山荘で』のような作品」と答えます。
最近作には本格物が少ないというのが大きな理由ですが、あの、ぐうの音も出ないほどの「してやられた」感を、もう一度味わってみたいと思うからです。

本作は、閉ざされた空間、クローズドサークルを扱った本格物が好きな人が、諸手を挙げて喜びそうな設定になっています。しかも、1990年に上梓された作品ではありますが、その時代だからこそ書けたというような、旧さは感じさせません。誰もが携帯電話を持つようになった現代でも、十分に実現可能な展開です。
主人公を筆頭にして、登場人物が皆、個性豊かに描かれている事も、この作品を、一層魅力的なものにしていました。

ところで私は、犯人よりも「この人の罪の方が深かったのでは?」と感じる人がいました。 犯人と二つ胴にして叩き斬る設定なら、星5個の満足感を得られただろうにと思いました。
いや、それではこの物語が成り立たないのですが…。

2005年10月26日に更新
『仮面山荘殺人事件』登場人物一覧
樫間高之(20代後半) ビデオ製作会社経営
森崎朋美:高之の元婚約者・交通事故で結婚式の4日前に死去 / 森崎伸彦:森崎製薬社長・朋美の父親 / 森崎厚子:伸彦の妻 / 森崎利明:伸彦の息子・森崎製薬の幹部候補生 / 篠雪絵:厚子の姪 / 篠一正:厚子の弟・雪絵の父親 / 木戸信夫:利明と朋美の又従弟・医師 / 下条玲子:伸彦の秘書 / 阿川桂子:朋美の友人・小説家 / ジン:森崎伸彦の山荘に押し入った暴漢・小男 / タグ:森崎伸彦の山荘に押し入った暴漢・大男で粗野 / フジ:森崎伸彦の山荘に押し入った暴漢達のリーダー