どちらかが彼女を殺した
作品DATA
どちらかが彼女を殺した
  • 出版社 講談社ノベルス(ISBN:406181687X)
  • 発刊日 1996/06/05
  • 文庫化 講談社文庫(ISBN:4062645750)
  • 文庫発刊日 1999/05/15
  • Detail 加賀恭一郎が登場。
    本文では犯人が特定されていない。文庫版は、西上心太さんの袋とじ解説に真犯人を示唆するヒントが記されている。
  • お薦め度 ☆☆☆☆
  • お気に入り指数 ☆☆☆
作品Outline
愛知県警豊橋署に勤務する和泉康正の妹、園子が死んだ。死因は感電によるショック死。自室のベッドに横たわる園子の亡骸には電源コードが這っていた。所轄である練馬警察署の山辺は自殺と判断し、兄、康正もまた、その判断に首肯する。だが、彼の真意は別の所にあった。現場の状況から、園子の死は自殺を偽装した殺人事件と確信していた彼は、犯人探しを司直に委ねず、自らの手で断罪する決意を固めていたのである。
容疑者は二人―、どちらが妹を殺したのか?

本文中には犯人を明かす記述がない。
犯人当てが好きなミステリマニアには、垂涎の一冊となるだろう。

作品Review
何の予備知識も持たずにこの本を読んだ人は、大いなる戸惑を禁じ得なかった事でしょう。犯人が明かされず仕舞いに終わるからです。
私は落丁を疑いました。
ミステリを読む際には、解説は勿論の事、帯の文字でさえも、読まないようにしているものですから―。

ノベルズ版(絶版)は文庫よりも、読者に与えられたヒントの数が多いものの、Feintも少なくない為に、一回の読了で犯人を特定する事は至難の業と言えるでしょう。
文庫版では重要なヒントが削除されてしまいましたが、袋綴じ解説である「推理の手引き」を読めば大方の察しは付きます。ただ、ここでも真犯人の名前は伏字になっているので、慎重な性格の人には一抹の不安が残るかもしれません。

犯人当てが主体の物語なので、他の作品のように何度も読み直すという事はして来なかったのですが、久し振りに手にして唖然となりました。
ページが傍線だらけなのです。「推理」のために入れたものでしょうが、無意味な着目が多くて…。(笑)

犯人当てゲーム、という命題を意識しないでこの作品を読むと、やるせない気分・無情感に包まれてしまいます。
現実社会ではありがちなトラブルですが、
和泉園子があまりにも哀れなものですから―。

2005年9月11日に更新
文庫版ネタバレ推理
この項では、管理人の推理を紹介しています。「読んでみよう」と思われる方は、↑のタイトル部分をクリックしてください。
明らかなネタバレ事項なので、未読の方はご注意ください。
加賀恭一郎のProfile
  • 姓名 加賀恭一郎
  • 職業 警察官
    勤務先: 高柳バレエ団に関する一連の事件を扱った時には警視庁捜査一課勤務。その後、練馬署に移動し、現在(2006年)は久松署勤務。
    役職: 1996年に、加賀は、巡査部長と記された名刺を提示し、「どうせ使い切る前に、新しいのを作ることになるんですから…」と発言している。同年に殺害された和泉園子の兄康正は、これを転勤か昇進のためと推測した。1999年度も練馬署勤務である事と併せて類推すると、役職は警部補である可能性が高い。
  • 身体的特徴 長身で肩幅が広い。容疑者達の言葉を借りれば「爽やかとでも形容できそうな顔で笑う」が、捜査現場では隙のない鋭い目を光らせている。彫りの深い顔立ちであるため、逆光では目元が黒く見える。顎は尖っている。喫煙をしないので歯が白い。
  • 特技 剣道:国立T大在学中に全日本選手権で優勝。
  • 趣味 茶道・クラシックバレエ鑑賞
  • 加賀恭一郎が解決した事件を紹介した書籍
    『卒業-雪月花殺人ゲーム-(国立T大在学中の事件)』『眠りの森』『どちらかが彼女を殺した』『悪意』『私が彼を殺した』『嘘をもうひとつだけ』『赤い指』
  • 人物評定 国立T大在学中は、剣道部の部長を務める等して、リーダーシップと協調性に富んだ人物であったが、警察官になってからは、単独行動が目立つ。能弁ではないが、寡黙でもない。情は深いが冷静沈着。犯罪者に対しても優しさや思いやりを失わないのは、大学時代の苦い経験が影響しているためか?それとも―。
    社会学部出身の、所謂、文系人間だが、工学・化学・情報科学への造詣も深い。
  • 恋の遍歴 高校・大学を共に過ごした相原沙都子にプロポーズするも、見事に撃沈。沙都子の方は、好意はあるが恋情には至らない、といったところか。
    但し、『眠りの森』では、沙都子を「大学時代の恋人」として扱っている。男女間のランク分けには大雑把な処理をするようだ。
    3年間のブランクを経て、今度は新進気鋭のバレリーナ、浅岡未緒に恋をする。その後の進捗状況は不明だが、未発展の場合でも、美貌のダンサーと大恋愛をした、と述懐する可能性があるので要注意。
  • その他1 大学卒業後の2年間は教員生活を送るが、「教師としては失格(『眠りの森より』)」と判断して辞職、警察官になる。教壇を離れるに至った詳細は『悪意』に記されているので、興味のある人は参照の事。
  • その他2 シリーズ第一弾である『卒業-雪月花殺人ゲーム-』において、加賀の父親の職業は警察官であることが紹介されていたが、第七弾の『赤い指』では、従弟も同業であったことが明かされる。警視庁捜査一課に勤務(2006年夏現在)する松宮脩平がその人。
『どちらかが彼女を殺した』の登場人物一覧
加賀恭一郎(30歳前後) 練馬署勤務の刑事
和泉園子:電子部品メーカーの販売部に在籍 / 佃潤一:大手出版社勤務・社長は父親 / 井出係長:園子の上司 / : / 弓場佳世子:園子の友人・高校と大学が同じ / 和泉康正:園子の兄・豊橋警察署勤務の刑事、所属部署は交通課 / 山辺係長:練馬署勤務の刑事 / 本間:豊橋警察署の刑事・和泉康正の上司 / 田坂:和泉康正の同僚・警察学校の同期 / 坂口巡査:和泉康正の同僚 / 佐藤幸広:佃潤一の友人・ピザ屋の店員 / 山岡課長:和泉園子の上司 / 笹本明世:和泉園子の同僚 / 藤岡聡子:和泉園子の学生時代の友人 / フリーライター:和泉園子のアパートの隣人