超・殺人事件 -推理作家の苦悩-
作品DATA
超・殺人事件 -推理作家の苦悩- 出版社 新潮社(ISBN:410602649X)
発刊日 2001/06/22
文庫化 新潮文庫(ISBN:4101395225)
文庫発刊日 2004/05/01
Detail 内容: 超税金対策殺人事件/ 超理系殺人事件/ 超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇)/ 超高齢化社会殺人事件/ 超予告小説殺人事件/ 超長編小説殺人事件/ 魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)/ 超読書機械殺人事件   『超税金対策殺人事件』が、フジテレビの「世にも奇妙な物語」でドラマ化された。
お薦め度 ☆☆☆☆
お気に入り指数 ☆☆☆
作品Outline
ハードカバーの帯には記された文字は「日本推理作家協会、除名覚悟!」。

思いがけないヒット作を得たミステリ作家の税金対策・ミステリ界の重鎮に翻弄される編集者・認知症を患ったベテラン作家・推理小説の展開通りに犯行を繰り返す殺人鬼・小説の内容を読み取り、書評を出力できる機械etc―、文壇を取り巻く裏事情を盛り込みながら、可笑しくて怖い物語が書き綴られて行く。

出版界を皮肉と諧謔で具現する傑作短編集。

作品Review
  • 超税金対策殺人事件
    納税額に仰天した推理作家が、友人の会計士から、必要経費に関する指南を受ける。税務署に、経費である事を認めさせるようと、小説の筋書きを大幅に書き替えるが―。
    給与所得者には、「必要経費」が認められる職種の方々が羨ましいです。妬ましくて腹立たしくもある、と言った方が正しいかもしれません。
    頑張れ、税務署!
  • 超理系殺人事件
    理系を自認する中学校の理科の教師が、『超理系殺人事件』というタイトルのミステリを、プライドと意地に懸けて読了しようと試みる。しかしそこには意外な企みが隠されていた。
    私は、タイトルの下に付記されている「この小説が肌に合わない方は飛ばし読みしてください」の指示を守りました。飛ばし読んでも差し支えない箇所が一目瞭然なので、展開は把握できます。
    素晴らしいオチが用意されていて、思わずニヤリとなりました。

    ところで、『野性時代Vol.27』には、本作に関する面白いエピソードが紹介されています。

    新潮社の校閲が意地を見せて、チェックにチェックを重ねたそうなんですよ。さじを投げたら負けだと思ったんでしょう。それでも幾つかに関しては「これは何のことだかサッパリわかりません」と言って来たんですよ。(中略)
    「本当にこういうのがあるんですか」というので「論文丸写しだから、あるはずです」と言ったんです。そしたら「じゃあ、それでいいです」って。勝ちましたね?って。
    『野性時代Vol.27』の特集記事「東野圭吾のすべて」より転載
    本のプロは、飛ばし読みする読者や似非理系人間のことなど眼中になく、真性理系人間が読んでも一点の瑕疵がない作品を志した、ということになります。職務の域を超えた矜持が垣間見えたようで冴え冴えとした気分になりました。
  • 超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇)
    人気推理作家が担当編集者四人に、自作の「犯人当て」を命じる。褒美には、長編の新作を提供すると言う。
    新作の原稿を獲得するため、謎解きに熱くなる編集者達―。
    この短編集の中では珍しい本格ミステリ。初期は密室物が多かった東野さんですが、以降は、「この手」で読者を誑かし続けて来ました。
    警戒はしていたのですが、今回もしてやられました。

    犯人当てに成功した編集者さんが「お縄」を頂戴しませんように!

  • 超高齢化社会殺人事件
    「ぼけ」が始まっているミステリ作家。破綻した内容の添削に、担当編集者は汲々となる。仕舞いには、トリックの構築までをも引き受けるはめになるのだが……。
    思わず吹き出してしまうような記述がぎっしり詰まった作品なので、公共の場で読むのは控えた方が良いでしょう。
    最後に切ない「どんでん返し」が待っていますが、ここまで老人を労ってくれる社会っていうのは、ちょっといいなーとも思ってみたり―。
  • 超予告小説殺人事件
    無名の推理小説家が書いた作品を、模倣する人間が現れた。作中の殺人劇をそのままに再現する事件が連続したのだ。推理小説家は時の人となり、著作も飛ぶように売れ始める。
    粗筋を読んだぐらいでは中身の面白さなんて分かりませんから、どうしても評判になっている作品に手が出てしまいます。作られた話題に踊られされ易い私には、複雑な思いが駆け巡るお話でした。
  • 超長編小説殺人事件
    次回作には、原稿用紙3000枚との注文を受ける推理作家。命がけで渾身の一作を書き上げたのだが……。
    確かに最近は、分厚い小説が増えて来ました。でも、原稿用紙の枚数が増えるのは構わないのですが、「重い」本は困ります。ソフトカバー・二段組がデフォルトになってくれると、文庫化を待たずに購入する人が激増すると思いませんか?
  • 魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)
    トリックを考えずに、密室殺人事件を書いてしまった推理作家。さぁ、どうする!?
    ご愁傷様でした。
  • 超読書機械殺人事件
    ミステリ小説の評論家の元に、「ショヒョックス」なる機械が持ち込まれた。小説の内容を読み取り、書評を出力できるという優れものだ。件の評論家は「ショヒョックス」を重宝するが、他の同業者までもが使い始めたから厄介だ。
    年齢別のモードも加えれば、読書感想文で苦労する子供達からも歓迎されるでしょう。作文が大の苦手、という子供でも、全国読書感想文コンクールの総理大臣賞をGETできます。
2006年8月9日に更新
『超・殺人事件 推理作家の苦悩』の登場人物一覧
■ 超税金対策殺人事件
作家
:主人公「俺」の配偶者 / 浜崎五郎:浜崎会計事務所の所長・俺の高校時代からの友人 / 芳賀:作中小説『氷の街の殺人』の登場人物 / 逸見康正:作中小説『氷の街の殺人』の登場人物 / 静香:作中小説『氷の街の殺人』の登場人物
■ 超理系殺人事件
中学の理科教師・科学誌を愛好している
佐井円州:作中小説『超理系殺人事件』の作者 / 一石博士:作中小説『超理系殺人事件』の登場人物・宇宙物理学者・研究室で死体となって発見される / 野口博士:作中小説『超理系殺人事件』の登場人物・生命工学の権威 / 法金教授:作中小説『超理系殺人事件』の登場人物・国立超先端科学研究所勤務 / 恩田博士:作中小説『超理系殺人事件』の登場人物・国立超先端科学研究所の副所長 / 穴黒:作中小説『超理系殺人事件』の登場人物・国立超先端科学研究所に勤務する研究者
■ 超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇)
島袋銀次郎 ベストセラー作家
鵜戸川邸介:作中小説の登場人物・小説家 / 顎川:作中小説の登場人物・朝日出版勤務の編集者 / 坂東:作中小説の登場人物・文福出版の編集者 / 千葉:作中小説の登場人物・忠実書店の編集者 / 堂島:作中小説の登場人物・大八書房の編集者 / 桜木弘子:作中小説の登場人物・鵜戸川邸介の秘書 / 片桐:金潮社の編集者
■ 超高齢化社会殺人事件
小谷健夫 編集者
藪島清彦:ベテラン作家 / 高屋敷秀麿:作中小説の登場人物・私立探偵 / 桜木要太郎:作中小説の登場人物・高屋敷秀麿の友人 / 中村鉄三:作中小説の登場人物・桜木家の別荘の管理人 / 桜木美禰子:作中小説の登場人物・桜木要太郎の義理の娘 / 梅田健介:作中小説の登場人物・桜木要太郎の友人 / 梅田房子:作中小説の登場人物・梅田健介の妻 / 松島次郎:作中小説の登場人物・桜木要太郎の友人 / 竹中加世子:作中小説の登場人物・桜木要太郎の友人 / 竹中和夫:作中小説の登場人物・桜木要太郎の友人 / 杉山卓也:作中小説の登場人物・美禰子の婚約者 / 淑子:作中小説の登場人物・桜木家の家政婦 / 神無月小次郎:作中小説の登場人物・私立探偵 / 金子:出版社勤務・編集長 / 吉野めぐみ:出版社勤務
■ 超予告小説殺人事件
松井清史 作家
遠藤:松井清史の担当編集者 / 杉山週助:作中小説の登場人物・杉山バレエ団の団長 / 杉山晃一郎:作中小説の登場人物・杉山週助の息子・杉山バレエ団のバレエマスター&演出家 / 中山春子:作中小説の登場人物・杉山バレエ団の事務局長 / 弓川姫子:作中小説の登場人物・杉山バレエ団のプリマドンナ / 原口ゆかり:鏡バレエ団のプリマドンナ・稽古場で刺殺死体となって発見される / 元木刑事:事件の担当捜査官 / 清水刑事:事件の担当捜査官
■ 超長編小説殺人事件
葛原万太郎 作家
小木:金潮社勤務・葛原万太郎の担当編集者 / 二月堂隼人:作家 / 夏野キリコ:作家 / 片村ひかる:作家 / 道場秀一:作家 / 出船俊郎:作家 / 高屋敷秀麿:作家 / 油壺俊彦:作家 / 和賀:作中小説の登場人物 / 佐分利英子:作中小説の登場人物 / 牟田高志:作中小説の登場人物・高校球児
■ 魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚)
作家
大森:俺の担当編集者 / 高屋敷:作中小説の登場人物・私立探偵 / 岩風:作中小説の登場人物 / 佳枝:作中小説の登場人物
■ 超読書機械殺人事件
門馬 書評家
猿田小文吾:作家 / 牛飼源八:作家 / 小木:金潮社勤務・編集者 / 黄泉よみ太:ショヒョックス販売株式会社勤務・営業所長 / 江本:金潮社勤務・編集者 / 猫塚志乃: / 友引伝助:書評家 / 大安良吉:書評家 / 虎山道雪:作家 / 恩田公一:作中小説の登場人物・レジャーランドの社長 / 江尻祐子:作中小説の登場人物・女医 / 田之倉伸介:作中小説の登場人物・江尻祐子の元婚約者 / 岩槻一正警部:作中小説の登場人物