謎2005 -AEGIS-  「シングルモルト&ミステリー」トークのレポート 
2005年10月4日(火)に「シングルモルト&ミステリー」トークショーに行って来ました。
  • 開催日時:2005年10月4日(火)18:30開場/19:00開演
  • 会場:サントリーホール/小ホール
  • 出席者:大沢在昌さん(ナビゲーター)/逢坂 剛さん(友情出演)/北方謙三さん(友情出演)/桐野夏生さん/東野圭吾さん/福井晴敏さん
  • 主催:日本推理作家協会/毎日新聞社
  • 協賛:サントリー株式会社
以下は、その折のレポートです。
4時間前から並んで呆れられる、の巻
15:00
タクシーが止まったところは楽屋口―、こんなところに下ろされてもと思いつつ降車しました。タイミング良く「ミステリートーク」のスタッフが通ったので、如々子さんが声を掛けました。
如々子「『ミステリートーク』は、どこに行って並べばいいですか?」
スタッフ氏「え?まだ開演までには4時間もありますが…」
如々子「はい、そうなんですが、先着順と書いてあったので、早くから並んで前の方の席に座らせていただこうと思いまして―」
スタッフ氏 微苦笑
如々子&私 艶笑
指定席ではない場合、早く並んで良い席を取るというのは、私と如々子さんにとっては当たり前の感覚だったのですが、スタッフの皆さんや、私達以外の49組の招待者にとっては、特異な価値観であったようです。
二番目の人の到着時刻はその一時間後―、しかも、状況を見て並ぶに及ばずと判断されたのか、すぐに踵を返し、再登場された時には、17時を過ぎていました。

結論:「ミステリートーク」の最前列中央に座りたい場合は、開場の1時間くらい前でも十分なようです。

※ 注意 原則禁止のカメラ撮影をしたい場合は、後方の席の方が望ましいでしょう。 最前・中央でそれをやったら、非難轟々が必至なので、自粛しました。
パシャパシャと光るフラッシュが、羨ましかったり恨めしかったり―。

オーラが漂っていた、の巻
15:25
あまり早く並んでも意味がない事を悟った私達は、サントリーホールの前にあるオープンカフェに陣取って、開場入り口付近の様子を伺う事にしました。
すると―、先刻のスタッフ氏が満面の笑みを湛えて、右60度の方向に歩き出すのが見えました。
その視線の先には、サックス色のタイトなジャケットに黒いパンツを履いた長身の男性の姿が―。
如々子「ひ・東野さん!?」
「そ・そうみたいだね」
飛行機や新幹線を利用すると、政治家や芸能人を見掛ける事がよくあります。
あまりにも普通過ぎて、それと気付くまでに結構な時間を要する場合が多いのですが、東野さんは違いました。いきなり辺りの色が変わってしまったかのような、凄まじいまでのオーラを発していました。(東野圭吾さんに対しては標準的な感覚しか持っていない如々子さんの弁なので、「贔屓の引き倒し」と思ってはいけません)

15:50
スタッフ氏再登場。そして、満面の笑みのリプレイ。
丈の短い茶色のコートから、細くて形の良い足を覗かせている女性が、スタッフ氏の姿を見止めて小走りに駆け寄りました。

如々子「き・桐野さん!?」
「カッコイイ!!」
明るい栗色の髪が秋風に揺れる風情は、ドラマのワンシーンでも見ているかのようでした。周囲を圧倒する力という点では、東野さんにも勝っていたかもしれません。桐野夏生さんというよりも「ミロ」が、そこに居ました。
福井晴敏さんの真正面に座る、の巻
壇上での席順は、客席から向かって、前列左側から桐野夏生さん・福井晴敏さん・東野圭吾さん、後列左側から大沢在昌さん・逢坂 剛さん・北方謙三さんとなっていました。
「謎2005 -AEGIS-」をブレンドした福井晴敏さんを、残る5名の方が取り囲む形です。そして、その真正面、距離にして2メートルぐらいのところに、如々子さんが座りました。
第一印象
桐野夏生さん…黒いミニ丈のワンピースを着用。全身を黒で統一する中で、ワインレッドの扇子が妙に艶かしい。
きりりとした美しい容姿にハスキーボイスが驚くほどに調和していて、桐野さんが書くハードボイルドの女性主人公が、作中から抜け出して来たかのよう―。
北方謙三さんに対して「男・桐野夏生」という言葉が飛び出しましたが、確かに、それだけの存在感を持った方でした。

福井晴敏さん…痩せたのか、それとも、ふっくらと写ってしまうタイプなのか、インタビュー記事や著者近影に掲載されている写真よりはかなり細身。丸顔のせいか、実年齢よりも若々しい。
飄々と語り、淡々と笑わせ、協賛スポンサーや錚々たる顔ぶれの先輩作家を持ち上げる話術の巧みさに、圧倒され続けました。

東野圭吾さん…毛先が軽く跳ねた髪型は、腕の良い美容師が作ったナチュラルウェーブ!?アバンギャルドな魅力が全身を包む。
映像・画像を頻繁に拝見しているせいか、驚きに類するものは皆無でしたが、硬質な話題は共通語で、冗談や「ツッコミ」を入れる際には関西訛りを出すという、独特の話法が印象的でした。

大沢在昌さん…ハードボイルド作家というよりも、やり手の営業部長といった雰囲気。話術が驚くほどに巧み。
よく通るバリトンに、素晴らしい活舌―、当意即妙な話術は作家に共通するものだとしても、司会業でも食べていけそうな器用さに、しばし言葉を失いました。
「シングルモルト&ミステリー」トークショーの立役者は、年毎の最優秀ブレンダーではなく、大沢さんだった模様。

逢坂 剛さん…好々爺という雰囲気は、演出なのか、それとも内側から滲み出たものなのか!?
有名作家を「人柄の良さそうな人」と評しては、却って失礼になるのかもしれませんが、優しさや懐の深さが内側だけに留まり切れずに、外に溢れ出してしまった方、という印象を持ちました。

北方謙三さん…男性5人の中では最もフォーマルな装い。但し、色合いは明るいベージュ基調。
容姿や話し方は、長年持ち続けて来た「北方謙三」像そのままだったのですが、話の中身は意外感に包まれるものも少なくありませんでした。
硬軟・剛柔のバランスが絶妙な上に、場の雰囲気を盛り上げる業にも長けた方で、この日は、弄られキャラとしての好演が光りました。

勝ち犬と負け犬
「シングルモルト&ミステリー」トークショーは二部構成になっていて、前半は、今回参加の六名の作家がブレンドしたモルトウィスキーの話題を中心に進行して行きました。

サントリーのブレンダーが用意した10種類の原酒を、それぞれが自分の好みに合わせてヴァッティングした時の様子が面白おかしく語られます。詳細は、同社のホームページをご覧ください。

桐野夏生さんは、ピートの効いたブレンドにしたところが、ピートに拘る北方謙三さんの作品に似てしまい、自分の酒に投票するつもりが、北方さんへの一票を捧げる結果となったようです。

参加者がそれぞれ、自著のイメージに拘ったブレンドを心掛けたのに対し、東野さんがブレンドしたモルトウィスキーの名前は「ローレライより深く、イージスより強く、1549より爆発的」 ―。初めから勝ちを捨てているようなネーミングでした。
桐野さんも、「東野圭吾さんと私は『噛ませ犬』」と言っていました。何とも豪華な負け犬ラインナップです。

最高得票を得て、10月4日に全国一斉発売される事になった福井晴敏さん作の「謎2005 -AEGIS-」は、香りがよくて飲みやすい、という印象でしたが、モルトウィスキーの味などさっぱり分からない私がいう事なので当てにはなりません。

ミステリートーク -作家への質問コーナー-
20分間の休憩後に行われた第二部は、一般参加者から寄せられた「質問」を中心に進行して行きます。
「質問」が採用された人には、豪華なプレゼントが用意されていました。サイン本に文士劇の様子をまとめたビデオ、泡坂妻夫さんによる特製トランプetc。

因みに、「質問」採用のポイントは、「面白いネタである事」―。
一例として、
「北方先生と大沢先生では、どちらが銀座でモテますか?」
を上げていました。
真面目な事を尋ねても、作家はろくでもない返事しかしないので、来年以降に参加される方は「是非面白い質問を用意して来て欲しい」との事でした。つまりはまぁ、今年の「質問」は、パッとしなかった、という意味です。
これから参加される方は、受け狙いに徹した質問作りに励んでください。

「質問&回答」に関しては、個別にまとめました。
興味のある項目をクリックしてください。

お詫びとお願いと補足と
ミステリートークは、耳に入った言葉をそのまま文章化しましたので、聞き違いによる誤りがあるかもしれません。
参加なさった方で、間違いに気付いた方がおられましたら、お知らせください。

東野さんは、サイン入りの『容疑者Xの献身』に対して、「サインしてる時に、随分と指紋が付いちゃってます」と言って笑わせてくれました。
あの本のカバーは、手の汚れや傷が付き易いのですが、その評判が東野さんの耳にも届いていたのでしょう。

福井さんの場合は、「イージスのフィギュアの『おまけ』に、本が付いています」と言うことでした。