東野圭吾作品のシリーズキャラクター
東野圭吾作品には、何人かののシリーズキャラクター(現在の所は4人)が存在します。
よく知られた人気作品ばかりですが、「まだ東野圭吾作品を読んだことがない」という方々の参考資料にしていただければ幸いです。
シリーズキャラクターは4人
■ 東野圭吾作品のシリーズキャラクターと登場作品
  • 加賀恭一郎…『卒業-雪月花殺人ゲーム-(国立T大在学中の事件)』『眠りの森』『どちらかが彼女を殺した』『悪意』『私が彼を殺した』『嘘をもうひとつだけ』 『赤い指』
  • 竹内しのぶ…『浪花少年探偵団』『浪花少年探偵団・独立編 しのぶセンセにサヨナラ(原題は'浪花少年探偵団2')』
  • 天下一大五郎…『名探偵の掟』『名探偵の呪縛』
  • 湯川学…『探偵ガリレオ』『予知夢』『容疑者Xの献身』
註1 小学校の教諭、竹内しのぶの活躍を記した「しのぶセンセ」シリーズは、著者が、「もう書けない」と発言をしているため、新作が発表される可能性は皆無に等しい状態です。
註2 連作短編集は、連載時にはシリーズ物としての要件を整えていたと思われますが、ここでは、単行本が二作以上刊行されたものに限定しました。
加賀恭一郎シリーズの詳細
初登場は『卒業――雪月花殺人ゲーム(1996年刊行)』、国立T大在学中に巻き込まれた連続殺人事件の探偵役として登場しました。『眠りの森(1989年刊行)』で、作者の「ちょっとしたイタズラ」心から、再登場を果たします。
大学卒業後は中学校の社会科教師になりますが、その後、刑事に転進しました。教職を退く原因に関しては、『悪意(1996年刊行)』に詳しく触れられています。

作品ごとの繋がりは殆どないので、読む順序を心配する必要はありませんが、『赤い指(2006年刊行)』は、『卒業――雪月花殺人ゲーム(1996年刊行)』『嘘をもうひとつだけ(2000年刊行)』をお読みいただいた後の方が、より深い充実感が得られる作品かもしれません。

ちょっとした余暇を利用しての読書を楽しみたい場合には連作短編集である『嘘をもうひとつだけ(2000年刊行)』を、犯人当てを楽しみたい時には、本文中に犯人の提示がない『どちらかが彼女を殺した(1996年刊行)』『私が彼を殺した(1999年刊行)』というように、読む方の都合や嗜好に合わせてお選びください。

『卒業――雪月花殺人ゲーム』の関連作品(のようなもの)として、『学生街の殺人(1987年刊行)』を紹介しておきましょう。
加賀恭一郎シリーズは読む順序を問いませんが、『学生街の殺人』を紐解くなら、その前に『卒業――雪月花殺人ゲーム』を読了しておいた方が良いかもしません。『卒業――雪月花殺人ゲーム』を読んでいないと、作者の茶目っ気が理解できないからです。その意味は、中身を読んでのお楽しみ、ということで―。

練馬署勤務の長かった加賀刑事ですが、2005年の初夏に移動しました。現在は久松署に勤務しています。

加賀恭一郎のProfileをもっと詳しく知りたい方は⇒クリック

しのぶセンセシリーズの詳細
竹内しのぶという、小学校の女性教師が探偵役を務めます。
名探偵の宿命なのでしょう、しのぶセンセが行く先々で事件が勃発してしまいます。今時の親ならば、こんな先生には子供を預けられないと息巻きそうですが、舞台が大阪の下町のせいか、児童からも保護者からも、深く愛され、厚い信頼も寄せられています。

2000年秋には、NHKでドラマ化されました。ドラマ版『浪花少年探偵団』の公式サイトは現在も運営されていますので、しのぶセンセに興味を持たれた方は閲覧なさってみては、いかがでしょうか?
特別企画のページには、東野圭吾さんと、しのぶセンセを演じた山田まりやさんの対談も紹介されています。

『浪花少年探偵団』が、しのぶセンセの奉職先である大阪大路小学校とその周辺を舞台をしているのに対し、『浪花少年探偵団・独立編 しのぶセンセにサヨナラ(原題は'浪花少年探偵団2')』では、内地留学によって行動範囲を広げた、しのぶセンセの活躍ぶりを楽しむ事ができます。
このシリーズは、準レギュラー陣の存在も大きな魅力となっているため、刊行順に読む事をお薦めします。

作品の雰囲気は全く異なりますが、物語の舞台となる街は、『白夜行』にも登場します。雪穂としのぶセンセはほぼ同年齢ですから、どこかですれ違い、互いに「メンチ」を切り合っていたかもしれません。

しのぶセンセのProfileをもっと詳しく知りたい方は⇒クリック

名探偵(天下一大五郎)シリーズ
著者は、『名探偵の掟』について、以下のように語っています。
しゃれで書いた『脇役の憂鬱』というショートストーリーがやけにうけたので、悪のりして『密室宣言』を書いたら、もっとうけてしまった。
特に有栖川さんや北村薫さんにパーティ会場で褒めてもらえたので、変に自信を持ってしまい、次々と書くことになった。
公式サイトの「著者の一言コメント」より転載
軽い乗りで執筆された『名探偵の掟』ですが、『放課後』以来のヒット作となりました。また、その余勢を駆った、ということでもないのでしょうが、日本推理作家協会設立50周年記念 文士劇『ぼくらの愛した二重面相』では、作者自らが天下一大五郎役を演じて、好評を博しました。
『名探偵の掟』は、本格ミステリを斜に構えて語るという特性を持っており、『ぼくらの愛した二重面相』でも、その毒を存分に撒き散らしています。
宮部「趣向?というと、密室とか?」
東野「密室!いまどきそんな手垢のついた趣向で、客が喜びますか」
とまぁ、こんな具合です。

『名探偵の掟』が、ワトソン役である大河原番三警部とのショートコント風であるのに対し、『名探偵の呪縛』は、ファンタジックな雰囲気はあるものの、シリアスな要素を持っています。
それぞれが完全に独立した作品ですが、先ず『名探偵の掟』を読み、天下一大五郎を通して語られる作者のミステリ観に触れた上で、『名探偵の呪縛』に臨むことをお薦めします。

シニカルな発言を連発したと思ったらいきなり気弱になってしまったり、無能を売り物にしているのかと思いきや、時には冴え渡った推理を披露したりと、掴みどころのない人となりで読者を魅了する天下一探偵―、
更なる活躍を記した思われる『名探偵の哀愁(仮題)』が、2002年冬の発売を噂されたまま立ち消えとなり、現在に至りました。
一日も早い刊行が待たれるところです。

『毒笑小説』の収録作品である「本格推理関連グッズ鑑定ショー」には、『名探偵の掟』の作中人物が登場しています。真犯人が変わってしまうという大胆な設定ですから、併せて読めば、面白さが倍加するでしょう。

ガリレオシリーズ
作者が、「理系の知識を駆使して小説を書いてみたいと思っていた」ことから誕生した『探偵ガリレオ(1998年刊行)』
趣向は『探偵ガリレオ(1998年刊行)』と変わりないものの、専門的な道具の活用を控え「オカルトを暴く」ことに重きを置いた『予知夢』
前二作とは打って変わり、天才数学者の完全犯罪と献身愛を巧みな筆致で描いた、「新たなる代表作」誕生との呼び声も高い『容疑者Xの献身』
一作一作が強い個性を放つシリーズ物なので、もし、初めに読んだ作品を面白くないと感じた場合でも、他の作品まで敬遠する、というようなことは避けてください。
また、一作目が気に入ったからと言って、他の二作に同じような読後感を期待してはいけません。思い描いたものとは違い過ぎて、がっかりする可能性もあります。
先入観や予断を持たずに読むことが求められるシリーズ物だと思います。
従って、読む順序は問いませんが、『容疑者Xの献身』に取り掛かる前に、他の作品で登場人物の人となりを把握をしておけば、より濃密な読後感を得られるかもしれません。

このシリーズ主人公、湯川学は、大学の助教授です。専門は物理学。
警視庁捜査一課の刑事で、湯川と同じ大学の社会学部出身である草薙俊介は、この、象牙の塔の友人に頼り切っています。どうしたわけか草薙は、理系の専門知識を必要とする事件に出くわすことが多いからです。
犯人探しには興味がないものの、知的ゲームを楽しむような感覚で、湯川は、理系オンチの友人の良き協力者としての役目を果たして来ました。
『容疑者Xの献身』では、その二人の関係に影が差しますが、勿論、それには深い理由(わけ)があります。

東野圭吾作品には、湯川と草薙の母校である「帝都大学」という名称がしばしば登場して来ます。
主役クラスでは、『片想い』の西脇哲朗が同大の出身者です。石神哲哉の次はQB(西脇のニックネーム)なんてことにならないように―。

湯川学のProfileをもっと詳しく知りたい方は⇒クリック