ジャンル別に見る東野圭吾作品――詳細案内
このページでは、東野圭吾作品をジャンル単位で紹介させていただきます。
これから東野圭吾さんの作品を読んでみようか、という方の作品選びにお役立て願えれば幸いです。

Annotation

  • ジャンルタイトルをクリックしていただくと、詳細案内に移動します。
  • 色々な要素を併せ持つ作品に関しては、該当すると思われる全てのジャンルに振り分けています。
  • 作品名の末尾に「短」の文字があるものは短編小説・「連」の文字があるものは連作短編集・「エ」の文字があるものはエッセイ集です。
  • いわゆる「本格物」は「謎解きを楽しむ作品」と表記しておりますが、版元の惹句に「本格」の文字がある作品は、全てこのジャンルに振り分けています。中には、明確な定義からは外れてしまう作品も存在しますので、予め、ご承知おきください。
  • ご意見をお聞かせください。「このジャンル分けは分かり辛い。こんな風に区分してはどうか?」というようなアドバイスをいただけると嬉しいです。
ジャンル別一覧
放課後 / 卒業-雪月花殺人ゲーム- / 白馬山荘殺人事件 / 学生街の殺人 / 11文字の殺人 / 魔球 / 香子の夢-コンパニオン殺人事件-※1 / 浪花少年探偵団(連) / 十字屋敷のピエロ / 眠りの森 / 鳥人計画 / 殺人現場は雲の上(連) / 依頼人の娘(連)※2 / 犯人のいない殺人の夜(短) / 交通警察の夜(連)※3 / ブルータスの心臓 / 仮面山荘殺人事件 / 回廊亭の殺人※4 / ある閉ざされた雪の山荘で / 浪花少年探偵団2(連)※5 / どちらかが彼女を殺した / 名探偵の掟(連) / 悪意 / 名探偵の呪縛 / 私が彼を殺した / 嘘をもうひとつだけ / レイクサイド / おれは非情勤(連) / 容疑者Xの献身

※1---『香子の夢-コンパニオン殺人事件-』は文庫化の際に『ウィンクで乾杯』に改題されている。※2---『依頼人の娘』は文庫化の際に『探偵倶楽部』に改題されている。 ※3---『交通警察の夜』は文庫化の際に『天使の耳』に改題されている。※4---『回廊亭の殺人』は文庫化の際に『回廊亭殺人事件』に改題されている。 ※5---『浪花少年探偵団2』は文庫化の際に『浪花少年探偵団・独立編 しのぶセンセにサヨナラ』に改題されている。


宿命 / 変身 / 分身 / 怪しい人びと(短) / 悪意 / 秘密 / 白夜行 / 片想い / トキオ / 手紙 / 殺人の門 / 幻夜 / さまよう刃 / 容疑者Xの献身

※---『トキオ』は文庫化の際に『時生』に改題されている。




虹を操る少年 / 秘密 / サンタのおばさん(絵本) / トキオ

※---『トキオ』は文庫化の際に『時生』に改題されている。


殺人現場は雲の上(連) / 浪花少年探偵団(連) / 浪花少年探偵団2(連) / あの頃ぼくらはアホでした(エ) / 怪笑小説(短) / 名探偵の掟(連) / 毒笑小説(短) / 超・殺人事件 推理作家の苦悩(短) / おれは非情勤(連) / ちゃれんじ?(エ) / 黒笑小説(短) / 夢はトリノをかけめぐる(エ)

※---『浪花少年探偵団2』は文庫化の際に『浪花少年探偵団・独立編 しのぶセンセにサヨナラ』に改題されている。


放課後 / 卒業-雪月花殺人ゲーム- / 学生街の殺人 / 魔球 / 同級生 / パラレルワールド・ラブストーリー / 片想い

※---『パラレルワールド・ラブストーリー』『片想い』は、「学園・青春ミステリ」に区分される作品ではない。




魔球 / 秘密 / レイクサイド / トキオ / 手紙 / さまよう刃

※---『トキオ』は文庫化の際に『時生』に改題されている。



名探偵の掟(連) / 探偵ガリレオ(連) / 予知夢(連) / さいえんす?(エ) / 夢はトリノをかけめぐる(エ)

あの頃ぼくらはアホでした / ちゃれんじ? / さいえんす? / 夢はトリノをかけめぐる


サンタのおばさん

浪花少年探偵団 / 殺人現場は雲の上 / 依頼人の娘※1 / 犯人のいない殺人の夜 / 交通警察の夜※2 / 浪花少年探偵団2※3 / 怪しい人びと / 怪笑小説 / 名探偵の掟 / 毒笑小説 / 探偵ガリレオ / 嘘をもうひとつだけ / 予知夢 / 超・殺人事件 推理作家の苦悩 / おれは非情勤 / 黒笑小説

※1---『依頼人の娘』は文庫化の際に『探偵倶楽部』に改題されている。※2---『交通警察の夜』は文庫化の際に『天使の耳』に改題されている。※3---『浪花少年探偵団2』は文庫化の際に『浪花少年探偵団・独立編 しのぶセンセにサヨナラ』に改題されている。

「謎解き」を楽しむ作品――詳細案内
東野圭吾さんの場合、「謎解き」を楽しむ作品の大部分が、初期に発表されたものに集中しています。 また、デビュー作である『放課後』から四作連続で、「密室」トリックを用いています。
1996年に上梓し、読者からの絶大な支持を得られることとなった『名探偵の掟』には、密室物を軽侮する言葉が並びますが、これは、密室批判ではなく、東野さん自身を自虐的に捉えた発言になるのではないかと思われます。

『放課後』は第31回江戸川乱歩賞受賞作で、同年の『週刊文春 傑作ミステリーベスト10』でも第1位に選ばれた作品です。内容もさることながら、その「動機」が、大きな話題をさらった作品でもあります。

『卒業-雪月花殺人ゲーム-』は、後に人気シリーズキャラクターとなる加賀恭一郎のデビュー作です。メイントリックが難解であるため、本格物マニアの方でも、謎解きには苦労なさるでしょう。

トラベルミステリのようなタイトルを冠した『白馬山荘殺人事件』ですが、オリジナルの原稿には「白馬」が存在せず、登場する地名も架空のものになっています。
原題である『マザーグースの宿の殺人』の方が、似つかわしい内容ではないかと思われます。

『学生街の殺人』は、モラトリアム型フリーターである主人公の青春白書という雰囲気が強い作品です。第41回日本推理作家協会賞(長編部門)候補作にもなった傑作で、「ミステリは苦手」という方にも楽しんでいただける作品だと思っています。

『11文字の殺人』という面妖なタイトルは、原題である『無人島より殺意をこめて』の文字数が11字だったことから誕生しました。
「命を懸けた報酬」の是非が主題になった作品です。

『魔球』は、第30回の江戸川乱歩賞候補作で、「最大の謎である『魔球』の正体をめぐって議論が百出、受賞を逃した(「江戸川乱歩賞と日本のミステリー」より転載)」作品です。刊行の際には、「魔球の正体」が改稿され、同年の「このミス」では18位にランクインしました。

ドラマ化もされた『香子の夢-コンパニオン殺人事件-』は、バブル期の日本を象徴するよう作品なので、読む方の年齢によっても、読後感が大きく違って来るでしょう。第131回直木賞候補作となった『幻夜』と、幾つかの共通項が見つかる作品でもあります(世界観は180度違う作品なので、誤解なきよう―)。
本作は文庫化の際に『ウインクで乾杯』と改題されています。

『浪花少年探偵団』『浪花少年探偵団2』は、東野圭吾さんの出身地である大阪市生野区を舞台に、小学校の女性教諭が大活躍する連作短編集です。笑いと人情をベースにしたミステリですから、老若男女の別なく楽しめる作品だと思います。
2000年にドラマ化され、映像化作品としても高評価を得ました。

『十字屋敷のピエロ』は、所有者を「必ず不幸にしてしまう」という、不思議な力を持ったピエロが「視点」を持つ作品です。
読者とピエロだけが知るところとなる「真犯人」。 本格物ファンには、堪らない魅力を湛えた作品になるのではないかと思います。

『眠りの森』は、加賀恭一郎の再登場で、当時の東野圭吾ファンを大いに喜ばせたものでした。森下洋子さんからも取材をしたといわれる本作には、平凡な日常を送る人々を圧倒する真摯な生き方、良い意味での凄味が描かれていますから、 ミステリの枠組みを超えた面白さを堪能できるのではないかと思います。

『鳥人計画』は、スキージャンプ界の暗部を描いた異色ミステリです。また、理系作家東野圭吾のデビュー作、と位置付けても良さそうな作品です。
何が異色で、何をして理系作家東野圭吾のデビュー作というかは、読んでからのお楽しみということで―。^^
本作は、文庫化の際に、ラスト部分が改稿されています。

『殺人現場は雲の上』は、スチュワーデスが探偵役を務める、軽妙洒脱な連作短編集です。

『依頼人の娘』は、文庫化の際に『探偵倶楽部』と改題されましたが、『探偵倶楽部』が原題でした。調査機関の探偵が「探偵役」を務める連作ミステリで、収録作の一篇、単行本のタイトルにもなった『依頼人の娘』が、ドラマ化されています。

『犯人のいない殺人の夜』は、珠玉の傑作短編集です。全作品に暗鬱たる雰囲気が漂うため、ハッピーエンドを期待する方には不向きな作品集ということになりますが、東野圭吾作品を読んだことのない方にお奨めしたい一冊です。
収録作である『エンドレス・ナイト』がドラマ化されました。

『交通警察の夜』は、文庫化の際に『天使の耳』と改題されましたが、原題の方が、この作品の意図するところを正確に伝えていると思います。
この連作短編集も傑作揃いで、収録作『天使の耳』が第44回日本推理作家協会賞<短編部門>、同『鏡の中で』が第45回同賞<同部門>、本書『交通警察の夜』が第46回同賞<連作短編集部門>の候補作になりました。また、『天使の耳』の内容を一部移殖した『鏡の中で』がドラマ化されています。

『ブルータスの心臓』は、犯罪者の視点で描かれた傑作ミステリです。エンジニアだった東野さんの経験が生かされた内容になっています。

数ある東野圭吾作品の中でも、その意外な結末から受ける衝撃度では三本の指に入るのではないかと思われるのが『仮面山荘殺人事件』
「騙されること」「してやられること」に妙味を覚えるミステリファンには、是非お読みいただきたい作品です。

『回廊亭の殺人』も、意外な結末に驚かされる作品です。文庫化の際に『回廊亭殺人事件』と改題されました。
あり得ない設定と思われる方がおられるかもしれませんので、参考文献として、『変装―私は3年間老人だった(朝日出版社/1988)』を紹介させていただきます。

作者が、『仮面山荘殺人事件』・『回廊亭の殺人』に次ぐ三部作と位置付けているのが、『ある閉ざされた雪の山荘で』。本作も、前二作と同様に、意外な犯人・意外な結末に唖然とさせられます。
但し、宮部みゆきさんは真相を看破なさったとか―。

『どちらかが彼女を殺した』は、本文中に犯人を示す記述がない作品として、刊行時の話題をさらいました。読者からの苦情が寄せられるのではないかという懸念は杞憂に終わったものの、出版元には問い合わせが 殺到し、回答マニュアルを作成しての応戦となったようです。
その3年後には、同じ趣向を施した『私が彼を殺した』も刊行されました。
どちらの作品も、東野圭吾作品の人気シリーズキャラクターである加賀恭一郎が探偵役を務めています。
犯人当てを楽しむミステリファンには、是非にもお読みいただきたい作品です。

『名探偵の掟』は、ミステリファンから絶大な支持を受けた連作短編集です。
日本推理作家協会設立50周年記念 文士劇『ぼくらの愛した二重面相』では、東野さん自らが本書の主人公である天下一大五郎を演じ、好評を博したようです。
『名探偵の呪縛』は『名探偵の掟』の続編ですが、前作とは趣を異にしています。東野圭吾作品を相当数こなした読者の方が楽しめる作品だと思われますので、「東野圭吾作品に初挑戦」という方は、後の楽しみに残しておいてください。

加賀恭一郎シリーズの中では、最も高い評価を得ているのではないかと思われるが『悪意』です。「謎解き」を楽しむ作品というよりは、心理サスペンスの色彩が強い作品です。
本作もドラマ化されましたが、主人公は、加賀恭一郎から、西原甲子男というオリジナルキャラクターに変更されました。

『嘘をもうひとつだけ』も、加賀恭一郎が主人公を務めますが、こちらは連作短編集です。初出の『卒業-雪月花殺人ゲーム-』と較べると、加賀に、大人の魅力が加わったと感じさせる内容になっています。
収録作である『冷たい灼熱』と『狂った計算』がドラマ化されました。

『レイクサイド』は、「受験」に絡む親の意識を核に据えた作品です。 著者の代表作である『白夜行』は、主人公の内面が描かれていない作品としても知られていますが、本作では、全ての登場人物に対して、同じ手法が取られています。
本作は『レイクサイド マーダーケース』というタイトルで映画化されました。DVDも販売されています。

『おれは非情勤』は学習研究社発刊の月刊誌に連載されたジュブナイルですが、オリジナル文庫化された際に加筆・訂正されているので、大人のミステリファンでも楽しめる内容になっています。

『容疑者Xの献身』は、『このミステリーがすごい!2006年版』・『本格ミステリ・ベスト10 (2005)』・『週刊文春 傑作ミステリーベスト10』の第一位を独占し、直木賞で四冠を果たすという、前人未到の快挙を成し遂げた作品です。更には、本格ミステリ作家クラブが主催する『第6回本格ミステリ大賞』まで受賞しました。
天才数学者と言われた男の卓抜たる頭脳に挑む、ガリレオ先生こと湯川学の活躍をお楽しみください。

「人間ドラマ」を主体に描いた作品――詳細案内
東野圭吾さんは、『宿命』刊行後の雑誌インタビューで、「殺人事件があって、トリックがあって、犯人はこの人、という意外性だけの作品では物足りなくなってきました。ミステリーではないと言われてもいいから、そういう作品は避けて通りたいと思っています」と語りました。
実際には、「古典的な閉ざされた空間での殺人事件というものに、依然として魅力を感じていた(『野性時代 Vol.27』より転載)」ため、この発言以降にも本格ミステリを上梓されていますが、『宿命』執筆を契機に、東野さんの興味は「人間を書くことの面白さ」へと移って行ったようです。

1990年に発表された『宿命』は、刊行当時は評価されず、14年の歳月を経ていきなりベストセラーになったという、不思議な経歴を持つ作品です。書店員さんが書いた「東野圭吾を読むならこの本、原点という小説です」というポップがブームの引き金になりました。
この作品は、あらゆる惹句に目を瞑り、想像力も駆使せずに読む方が、より深い感動が得られるものと思われます。騙され上手な読者になってください。
本作は、2004年にWOWOWでドラマ化されました。DVDも販売されています。

『変身』は、近未来の科学と人間ドラマを融合させた傑作長編です。
脳移殖によって自己崩壊の危機に瀕した主人公の苦悩が描かれていますが、彼にひたむきな愛情を注ぐ恋人の存在も、この作品の大きな魅力となっています。
本作も、2005年に映画化されました。DVDも発売されています。

『分身』も、刊行時には近未来の科学を取り入れた作品、という扱いになっていましたが、現在では、「近未来」が「最先端」に置き換えられています。
現実味を帯びたテーマになってしまったことで、意外な真実に対する衝撃度が希釈されてしまったものの、それが逆に、人間ドラマとしての魅力を高めた作品のようにも思えます。
『宿命』と『変身』の面白さを融合させたような作品でもあります。前二作を楽しく読めた、という方には、是非にもお奨めしたい一冊です。

『怪しい人びと』は、人間関係の妙を題材にした短編集です。
収録作である『甘いはずなのに』は、本格ミステリの面白さを兼ね備えた傑作です。また、同『灯台にて』は、心理サスペンスの面白さを満喫していただけるでしょう。

『悪意』に関して、作者は以下のような発言を残しています。
「説得力のある動機とか感動的な動機というものを、みんなが模索していた頃でもありましたから、ちょっとそれに対する反発を込めた―(『野性時代 Vol.27』より転載)」。
つまり作者は、読者が釈然としないかもしれない「動機」、読者からの反発を買うかもしれない「動機」を、敢えて用意したことになります。けれども残念ながら、その仕掛けは不発に終わったのでは?という印象が残りました。
「動機」に対する精査を失念してしまうほどの魅力を秘めた作品だからです。
本書の探偵役も、シリーズ物キャラクターである加賀恭一郎が務めます。

作者が『宿命』執筆時から志向し始めた「人間の想いを描くこと」――、それを見事に結実させた作品が『秘密』です。
『週刊文春 傑作ミステリーベスト10』の第3位、『このミステリーがすごい!1999年版』の第9位に名を連ね、第52回日本推理作家協会賞受賞作、第120回直木賞候補作にもなりました。
母親の精神が娘の体に憑依する作品ですが、理系作家との異名を取る東野さんにしては珍しく、科学的な検証を殆ど行っていません。丁寧な心象描写で、ファンタジックな物語に臨場感をもたらしました。
本作は、刊行の翌年に映画化され、映像化作品としても高い評価を得ました。
リュック・ベンソンが映画版『秘密』をリメイクし、フランスでは、2006年4月に『The Secret』というタイトルで公開されました。

『白夜行』は、『秘密』と共に、東野圭吾さんの代表作として推されることの多い作品です。
主人公二人の内面描写がないところから、読者に、自分なりの『白夜行』を思い描くという楽しみを供与してくれる作品でもあります。
2005年に舞台化、2006年にはドラマ化もされ、大きな話題を集めました。
『週刊文春 傑作ミステリーベスト10』の第1位、『このミステリーがすごい!2000年版』の第2位にランクインし、第122回直木賞の候補作にもなっています。
本作では、物語の面白さだけに留まらず、時代の情景も平行して楽しめるような工夫がなされています。また、主人公二人の動的変遷は、作者の系譜にも重なることから、東野圭吾さんという作家に興味を抱かれている方にとっても、魅力的な一冊になるものと思われます。

第125回直木賞候補作になった『片想い』は、縦軸にジェンダーフリーが、横軸には、夫婦間の愛憎と学生時代から続く友情が描かれた作品です。
社会派小説としての色彩が強い物語ですが、作者は「夜空ノムコウ」にインスパイアされた作品と語っていることでもありますし、粗筋や惹句に拘らないで読む方が、より充実した読後感を得られるかもしれません。
尚、この作品が刊行された当時と現在では、社会的環境が異なるため、作中には、今となっては意味をなさなくなった設定も存在します。2001年の刊行であることに留意しながらお楽しみください。

『トキオ』は、作者にとっての「一番」が内包された作品です。
主人公の宮本拓実は、作者が「一番好きなキャラクター」であり、本作は「一番楽しく書けた作品」と、随所で語られています。
他にも「一番」があるのですが、ネタバレになるので止めておきましょう。
『トキオ』は、タイムパラドックスで過去の世界に降り立った息子の宮本時生が、馬鹿な男の典型である父親の拓実を成長させるという物語なので、ファンタジーを好まれる方にも楽しめる作品ではないかと思います。
文庫のタイトルは、カタカナから漢字に変更され、『時生』になっています。
本作もNHKで映像化され、好評を博しました。

『手紙』は、殺人犯の兄を持った主人公の苦悩や悲哀を描いた意欲作で、第129回直木賞候補作にもなりました。
本作は、東野圭吾ファンではない人からも高い評価を受けていますが、その理由の一つに、ありきたりな感動巨編ではない、という点が上げられると思います。道徳の教科書にはなり得ない世界観が提示された作品なので、考える楽しみを希望される方にお奨めしたい一冊です。

『殺人の門』は、殺意の醸成と、そこから沸き起こる煩悶を描いた作品です。
東野さんは、主人公の内面を全く描かない作品(『白夜行』『幻夜』)ばかりか、全ての登場人物の心象心理まで排除した作品(『レイクサイド』)まで上梓されていますが、本書では打って変わり、主人公の主観だけが綴られて行きます。

『幻夜』は、「阪神・淡路大震災」の被災者となった一組の男女の、運命の変遷を描いた物語です。
第131回直木賞候補作にもなった傑作長編ですが、『白夜行』との関連性が高い作品、という認識が一般化しています。 本作を、『白夜行』の続編・姉妹編として捉えるか否かは、作者自身の意見が添えられていますので、こちらのページをご参照ください。

『さまよう刃』は、陵辱の果てに死に追いやられた女子高生の父親が、加害少年への復讐に挑む、という作品です。
少年法の不備・家庭における教育力の低下・ないがしろにされる遺族の被害感情等、様々な問題を内包した作品と映りますが、作者が一番書きたかったのは、警察官のジレンマのようです。
佐野洋さんの『推理日記PART10』では、本作は、『ジャッカルの日』に似た構造を持っているが、小説としては(本作が)数段上と絶賛しています。また版元に対しては、(社会への提言を志向した物語という体裁を取らず)ミステリーであることを明確に謳ってもらいたかった、と言い添えています。

『容疑者Xの献身』は、『本格ミステリ・ベスト10 (2005)』の第一位になり、『第6回本格ミステリ大賞』をも受賞した作品ですが、孤高の天才数学者と彼を取り巻く面々の人間ドラマとして読んでも、楽しんでいただけるのではないかと思います。
この物語の主人公である湯川学はシリーズキャラクターで、連作短編集『探偵ガリレオ』・『予知夢』でも、その俊才ぶりを発揮しています。『容疑者Xの献身』と他の二作は世界観を大きく違えていますが、『探偵ガリレオ』・『予知夢』のどちらかで主要登場人物の人となりを把握をしておけば、より濃密な読後感を得られるかもしれません。

「社会派小説」としての色彩が強い作品――詳細案内
『天空の蜂』は、原発問題を核に据えた物語ですが、その是非を問うことを主題にしているわけではありません。
相応の問題提起はなされますが、日本社会を根幹の部分で支える人々の真摯な生き方を伝えることにも、多くのページが割かれています。
取材を含めた執筆準備に3年もの歳月を掛けたといわれるこの作品は、原発問題に関する入門書的な要素も兼ね備えています。ただそのために、版元の惹句――「クライシス・サスペンス」に魅かれて購入した人にとっては、煩雑という印象が残るかもしれない構成になっています。 乱暴なアドバイスとお叱りを受けるかもしれませんが、原子力発電所の仕組みに関する箇所等は、斜め読みをしても差し支えないと思っています。飛ばし読んだからと言って、この作品の面白さが減殺するものではありませんから―。
私は、初読時はサスペンス物として楽しみ、再読によって、社会派小説の面白さを堪能しました。
本作は、第17回吉川英治文学新人賞候補作になりました。
文庫の解説者は、その第17回吉川英治文学新人賞を受賞された、真保裕一さんです。

『片想い』は、性同一性障害に関連した問題を、多角的に捉えた作品です。
とは言え、本書は、推理小説・青春小説・社会派小説の要素を全て兼ね備えた物語であり、性同一性障害に対する理解を深めることを第一義に考えた啓蒙書ではありません。充実した内容を持つエンターテイメント作品と捉えた方が、より深い読後感を得られるのではないかと思います。
本作には、相川冬紀という人物が登場しますが、この人の発言の中には、作者の思いを投影させたものが存在します。『片想い』を読んでみようと思われる方は、冬紀さんの言動にもご注目ください。
『片想い』は、第125回直木賞候補作になりました。

『手紙』は、犯罪者の弟という運命を背負わされる事となった主人公の、不条理な日常を綴った意欲作です。
兄の犯罪は、主人公の教育資金を捻出するためのものでした。ところが、月に一通ずつ届く兄からの手紙のせいで、弟の気持ちの中では、自分のために犯罪者にさせたという贖罪の意識が薄れ、憎悪ばかりが増長して行くようになります。
兄の手紙には、呑気な言葉ばかりが並んでいたからです。殺人犯の兄がいるというレッテルによって、弟には様々な艱難辛苦が襲い掛かっているにも関わらず…。 服役者の手紙には検閲が入るために、頻繁なやり取りを重ねれば、どうしても、「当たり障りのない呑気な内容」になってしまうようです(『野性時代Vol.27』で特集された「東野圭吾自身が語る全作品解説」より参照)。
作品の主題は別のところにありますが、呑気な手紙を書くしかなかった兄の心情を慮りながら紐解けば、更に深い感慨を得られる作品ではないかと思います。
本作にも、『片想い』と同様に、作者の思いを投影させた人物が登場します。こちらは苗字も似ていますから、読まれた方はすぐに気付かれることでしょう。
『手紙』は、第129回の直木賞候補作でした。

『殺人の門』には、実際に起こった詐欺事件の詳細が描かれています。
モデルになった「豊田商事事件」や「投資ジャーナル事件」では、その悪辣な手口が激しく糾弾される一方で、騙された側の落ち度に関しても、喧しい意見が相次いだものでした。事件の被害者に対して、「欲の皮が突っ張りすぎてるからだ」等の批判を行っていた人が本作を読んだら、胸の痛みを覚える内容かもしれません。
殺意の醸成と、そこから沸き起こる煩悶をテーマにした作品ですが、経済犯罪史の一端を垣間見る感覚で読んだ方が、面白く感じられる物語ではないかと思います。

『さまよう刃』は、被害者の遺族感情に焦点を当てた作品です。
底辺を流れる主張に共通項が存在することから、『手紙』との同系列の作品と捉える読者も少なくありませんが、作者は「それほど単純じゃない(『野性時代Vol.27』より転載)」と否定的です。
東野さん自身は、『天空の蜂』に類似した構成と述べています。
作者が意図することとは中身を違えますが、私には、『天空の蜂』と同種の問題提起がなされているように映りました。
社会派小説としての色彩に満ちた本作ですが、ミステリとしての面白さも堪能できる作品です。佐野洋さんの『推理日記PART10』では、「ミステリーであることを明確に謳ってもらいたかった」と述べられています。

「ハラハラドキドキ感」を満喫する作品――詳細案内
Jackie Joyner-Kersee『美しき凶器』は、作者本人から「あまりいい出来映えじゃない」と評された気の毒な作品ですが、私は楽しめました。
主人公(タランチュラ)のモデルは、ジャッキー・ジョイナー・カーシー(右写真)です。1988年のソウルオリンピックで彼女が樹立した七種競技の世界新記録は、現在(2006年夏)でも破られていません。
復讐に燃えるタランチュラと、それを迎え撃つ4人の元スポーツ選手――、
想像力豊かな読者には、やや惨たらしいシーンもありますが、娯楽性の高いサスペンス小説として、お楽しみいただけるのではないかと思います。

『むかし僕が死んだ家』は、読者の不安感を醸成する作品です。
元恋人の失われた記憶を取り戻すことを目的に訪ねた「灰色の家」で、主人公は、幾つもの不自然な光景を目にします。小学生の男児と思える少年の日記・同じ時刻で停止している家中の時計・編み掛けの毛糸玉・出しっ放しの男性用スーツ・通電されていない冷蔵庫に残された缶詰―。あなたなら、この状況から何を連想なさいますか?
『むかし僕が死んだ家』は、「『謎解き』を楽しむ作品」に分類できる要素を兼ね備えた作品でもあります。

『天空の蜂』は、某年8月7日午前5時に、犯人の一方的な意思によってスタートした「ゲーム」が、同日の午後2時30分過ぎに終結するまでを描いた物語です。
この僅か9時間半の間に、ある者は事件解決のために奔走し、ある者は幼い子どもの命を救うために自らの生命を掛け、またある者は保身のために姦計を巡らしたりと、彩り豊かなドラマが矢継ぎ早に繰り出されて行きます。こうしたことから、本作の惹句には、「クライシス・サスペンス」という、ちょっと耳慣れない表現が用いられました。
若干のネタバレになってしまいますが、本作には、天空に置かれた少年を救出するシーンがあります。この箇所は、作者が自衛隊航空救難団の知恵を借りたというだけあって、フィクションとは思えない程の臨場感を満喫できます。
サスペンス小説がお好きな方には、是非にもお奨めしたい一冊です。

もしも自分の家族に「人を殺した」と告げられたら―、
そしてその衝撃が消え去らない状態の中で、当事者以外の人物、それも複数の人物から犯行の隠蔽を提案されたとしたら―、
平均的な人間は、どんな態度に出るものでしょうか?
この急迫的状況が、『レイクサイド』の主人公の身に襲い掛かります。
登場人物の内面描写が殺ぎ取られているために、明確な形を成さない緊張感が読者を包み込んでしまう作品です。
映像化作品である『レイクサイド マーダーケース』は、サスペンス色が強調された仕上がりになっていました。

東野圭吾さんは、誘拐を核に据えた作品を二編上梓していますが(2006年夏現在)、『ゲームの名は誘拐』は、内の一作です。 家庭不和が原因で家を出た実業家宅の令嬢と、令嬢の父親に憤懣を抱く主人公が、ゲームの名の元に、狂言誘拐を企てますが、事態は意外な方向へと進んでしまいます。
本作は、主人公に藤木直人さんを配し、映画化されました(タイトルは『g@me.』)。内容は大幅に改変されていたものの、主人公が醸し出す雰囲気は、原作そのままでした。
主人公に藤木直人さんを重ねて読めば、臨場感が増す作品かもしれません。

「ファンタジー」の要素を取り入れた作品――詳細案内
『虹を操る少年』の主人公は、「光」で音楽を奏でる独自世界――「光楽(こうがく)」によって、若者を中心にした大勢の人々の心を魅了して行きます。
その「光」には、更なる秘められたパワーも内在しますが、それは、読んでからのお楽しみということで―。

『秘密』には、娘の体に母親の魂が憑依してしまうことで生じた悲喜劇が描かれています。
お笑い短編小説を長編に書き改めたところが、作者本人も企図していなかったような展開になった、という裏話が、『毒笑小説』の巻末で披露されています。また、『野性時代Vol.27』で特集された「東野圭吾自身が語る全作品解説」にも、その間の詳細が記されています。
本作は、映像化作品としても高い評価を得ました。
第52回日本推理作家協会賞を受賞した、著者の代表作の一つに数えられる作品です。

『サンタのおばさん』は、性差別を余儀なくされた「サンタのおばさん」の物語です。『片想い』の作中話が独立した恰好ですが、結末は変更されています。
絵本・童話の体裁が取られているものの、内容は大人向けです。
杉田比呂美さんのイラストに魅了される作品でもあるので、クリスマスプレゼントにすれば、喜んでいただけるかもしれません。

『トキオ』は、難病に罹患した宮本時生が、時空を超えて青年期の父親に会いに行き、ダメ男の好見本とも言うべき父――宮本拓実を成長させる物語です。
NHKで連続ドラマ化され、好評を博しましたが、内容はかなり変更されていました。ドラマは見たが原作は読んでいないという方にも、タイムパラドックスの面白さがより鮮明になる本書をお読みいただきたいと思います。
『トキオ』は文庫化の際に漢字表記に変更され、『時生』となりました。

「笑い」を基調にした作品――詳細案内
東野圭吾さんは、「ユーモア小説」という表現を苦手にしておられるようです。その詳細は、『毒笑小説』の巻末に収録された京極夏彦さんとの対談ページに記されていますので、興味を持たれた方は、そちらをお読みください。

『殺人現場は雲の上』は、凸凹スチュワーデスコンビ――、東京大学中退の才媛、通称A子と、三流短大卒で太りやすい体質のお調子者、通称B子の活躍(?)を描いた連作短編集です。
東野さんのお姉さんの元職であり、現職の方の取材も行ったというその内容からは、臨場感を伴った可笑し味・滑稽味が溢れ出ています。

『浪花少年探偵団』『浪花少年探偵団2』(文庫のタイトルは"浪花少年探偵団・独立編 しのぶセンセにサヨナラ")は、小学校の女性教諭が探偵役を務める痛快娯楽ミステリです。一話完結型の連作短編集ですが、人間関係には継続性があるため、刊行順に読まれることをお奨めします。
公式HPの「著者の一言コメント」には、「大阪弁を文字化するのは意外に難しいと思った。また、大阪弁を使うと、最初はそんなつもりもなかったのに、自然とお笑い路線に走ってしまうのだった」と記されていました。
2000年秋にドラマ化され、好評を得ました。

『あの頃ぼくらはアホでした』は、著者の少年期から大学卒業時までを綴ったエッセイ集です。
「笑い」の大群が押し寄せて来る作品なので、電車やバスの中等、人の目に付く場所で紐解かれる場合には、細心のご注意を―。

『怪笑小説』『毒笑小説』『黒笑小説』は、シニカルな笑いを集めた短編集です。
前二作は、各作品が完全に独立しているのに対し、『黒笑小説』には連作的要素を持つ作品が幾つか含まれます。
直木賞受賞時に「勝てて良かった」という名文句を残した東野さんですが、『黒笑小説』の収録作には、「落ちるたんび(度)にやけ酒飲んで、みんなで、選考委員の悪口言って」いた頃の様子が描かれています。
『怪笑小説』の収録作である『超たぬき理論』は、京極夏彦さんが大のお気に入りだということですし、『アルジャーノンに花束を』のオマージュ、『あるジーサンに線香を』も人気の高い作品です。
『毒笑小説』には、天藤真さんの『大誘拐』と、岡嶋二人さんの『99%の誘拐』を足して割ったような作品――、『誘拐天国』や、珠玉の名作短編『つぐない』、著者の大ファンである黒田研二さんが登場する『本格推理関連グッズ鑑定ショー』などが収録されています。
『毒笑小説』の収録作である『マニュアル警察』は、映像化されました。

『名探偵の掟』は、本格ミステリマニュアルと呼べそうな連作短編集です。 本格物を彩る様々な要素が章単位の主題となり、面白おかしく語り綴られて行きます。
主人公は天下一大五郎という年齢不詳の私立探偵ですが、変幻自在で、女子大生としての登場もあります。

『超・殺人事件 推理作家の苦悩』は、出版界を舞台にした短編集で、ハードカバーの帯には、「日本推理作家協会、除名覚悟!」と記されていました。全編に、諧謔が散りばめられています。
収録作の『超税金対策殺人事件』が映像化作品になりました。

『おれは非情勤』はジュブナイルを大人向けに改稿した連作短編集で、シュールな男性教諭が、児童と共に、泣き笑いの世界を繰り広げて行きます。生来の仕事嫌い・児童に好かれる必要がないから笑いを取るに行くようなサービスはしないと豪語している割には、結構な人情家なのです、この非常勤講師。

東野圭吾さんの板 『ちゃれんじ?』は、スノーボードに魅せられた作者の孤軍奮闘ぶりを伝えるエッセイ集です。
ボードデザインまで敢行する(右写真)熱の入れようですから、内容も熱気に満ち溢れています。
スノーボードの話題を中心に構成された作品ですが、『レイクサイドマーダーケース』の撮影現場訪問記・黒田研二さんの仰天行状記・短編ミステリなども組み込まれいるので、スノボに関心のない方でも、楽しんでいただけるでしょう。

『夢はトリノをかけめぐる』は、「僕」と「おっさん」が冬季五輪の関係者を訪ね、そのノウハウを学ぶ入門編と、冬季五輪会場での取材を元にした観戦編がセットになったスポーツノンフィクションです。但し、この「僕」が、猫から人間に変身してしまうという、あからさまなフィクションも含まれますが…。

「学園」「青春」「友情」を題材にした作品――詳細案内
小峰元さんの『アルキメデスは手を汚さない』でミステリの面白さを知ったという東野さんには、「学園」「青春」「友情」を題材にした作品も少なくありません。

第31回江戸川乱歩賞を受賞した『放課後』は、女子高の数学教師が、校内で起こった連続殺人事件の真相を解明する、という物語です。
「動機」が取り沙汰されることの多い作品ですが、乱歩賞の予選委員だった関口苑生さんや、短編の名手と言われる佐野洋さんからは、(その動機が)高く評価されています。また佐野さんに至っては、既に「プロの書き手」とまで言い添えています。
私は、動機やトリックよりも、主人公に惹かれましたが、この主人公の人となりに関しても、意見が分かれる作品です。

『放課後』が女子高を舞台にしているのに対し、乱歩賞受賞第一作の『卒業-雪月花殺人ゲーム-』は、地方の国立大学に通う若者の青春群像が描かれています。
核をなす二つのトリックは、共に、刊行当時には看過不可能と思えるレベルのものでしたが、今の時代なら、一つに関しては、察しが付く人も少なくないでしょう。
東野圭吾さんのファンにとっては、乱歩賞受賞第一作というよりも、人気シリーズキャラクターである加賀恭一郎のデビュー作、という印象が色濃い作品です。

『学生街の殺人』は、モラトリアム型フリーターである主人公の、青春放浪記という色彩が強い作品です(物理的な「放浪」はありませんが…)。現代の感覚ですと、ニートの物語と受け止められてしまいそうが、読んでいただければ、そうではないことをお分かりいただけるでしょう。
本作は、吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞の候補作になりました。

『魔球』は、第30回江戸川乱歩賞候補作で、加筆訂正された後、1998年に刊行されました。
昭和39年の高校野球界を描いた作品ですが、私には、核を成すものは家族愛だったかもしれない、という印象が残りました。
松井秀喜選手がNYに持ち込んだ文庫本に中には、本作も含まれていたようです。是非にも感想を伺ってみたいものです。

『同級生』は、学園物に、社会派小説の要素が組み込まれた作品です。
作者は、若い世代を描くことへの苦労を痛感したようで、本作を最後に、学園物は姿を消しました(高校生が主役の作品、学校が舞台になった作品は、『同級生』以降にも上梓されています)。
東野作品は「原点」「代表作」「記念碑的作品」「ターニングポイント」と称される作品が数多く存在しますが、東野さん本人は、本作を「最大のターニングポイント」と語っています。

『パラレルワールド・ラブストーリー』の主題は二つ存在します。一つは、親友の恋人を好きになった場合はどうすれば良いかという、実に古典的な命題、もう一つは、記憶に関わる脳のメカニズムを解明しようとする近未来的な概念です。
特異な展開をするために、序盤では戸惑いを感じる方もおられると思いますが、その戸惑いこそが、真相に至るための大きな鍵の役目を果たす作品です。

第125回直木賞候補作になった『片想い』は、友情を主題に置いた作品です。性同一性障害に対する真摯な取り組みも、その根幹には友情が存在します。
東野さんは、本作を、スマップの「夜空ノムコウ」にインスパイアされた作品と語っています。ジェンダーフリーという大きな問題を内包しているために、若かった頃の自分達を懐かしみ、その時代に培ったものを失うまいともがく側面が見え辛くなっていますが、言われてみれば確かに、文中のあちらこちらから、この歌が聞こえて来るような気がします。

「科学」を題材にした作品――詳細案内
理系作家と称されることの多い東野さんには、作中に「科学」を取り入れた作品が少なくありません。
ここでは、「科学」が重要な役割を果たすと思われる作品だけを選び、紹介させていただきます。

『鳥人計画』は、アマチュアスポーツ界の厳しい現実と勝利への執着心に翻弄される人々の悲哀を描いた作品ですが、スキージャンプの技術論に触れた部分も少なくありません。一線級の選手からの取材を元に上梓された本作は、専門家の方をも首肯させる内容だそうです。分解写真を線画で表した図や、加速度曲線なども併記されています。
科学を尊重することで生まれた歪みや悲哀を、怜悧な視点で綴った傑作長編だと思います。

『宿命』は、主題をタイトルにした作品です。
この物語の主人公には幾つかの宿命が与えられていますが、その中の一つに、脳医学に関するものがあります。詳細はネタバレになるので書けませんが、『毒笑小説』の収録作である『つぐない』にも、同じ題材が用いられています。
本作は2004年に、wowowでドラマ化されました。

『変身』は、近未来の科学――脳移殖を主題にした作品です。世界初の脳移殖を受けることとなった青年の自己崩壊に伴う苦悩が、本人の主観と第三者のメモを通して、克明に書き綴られて行きます。
本作は、2005年に映画化されました(作者の賞賛度が最も高い映像化作品かもしれません^^)。

『分身』は、生命工学を題材にした作品です。
刊行当時の『分身』には、「どうせ出来るわけのない架空の話」との評価があったようですが、この時代に紐解く読者には、現状に即した物語という印象の方が強いでしょう。 二人の女性主人公に魅了される作品でもあります。

『パラレルワールド・ラブストーリー』では、記憶に関わる脳のメカニズムを解明しようとする、近未来的な概念がテーマになっています。
主題に加え、物語の進行にも特異な形式が取られているために、読み始めた直後は、面妖な世界に放り込まれた、という印象を持たれる方もおられるでしょう。
その、混沌とした雰囲気が、意外な真実に至る重要な鍵になった作品でもあるので、主人公になったつもりで、パラレルワールドの謎に取り組んでみてください。

『天空の蜂』は、原子力発電に関わる諸問題を核に据えた作品なので、現在、日本に設置されている原子炉の仕組みに関しても、丁寧な記述がなされています。従って、軽水炉・高速増殖炉の概要や、その長所・短所を容易に学習できるという利点がある一方で、サスペンス小説の醍醐味を堪能したいという読者の中には、高揚感に水を注された、という印象を持たれる方もおられるでしょう。
科学ミステリとしての面白さがぎっしり詰まった大傑作ですが、サスペンス小説としてお読みになりたい方は、説明箇所の斜め読みをお薦めします。軽水炉・高速増殖炉の仕組みを知らないと楽しめない、というような作品ではありません。

『探偵ガリレオ』『予知夢』は、物理学教室の助教授である主人公が、その専門知識を駆使して難事件を次々に解決して行く、連作短編集です。
『探偵ガリレオ』が強い専門色を持っているのに対し、『予知夢』では、標準的な科学知識で巷の「オカルトを暴く」という趣向が取られています。
作品間の関連性はありませんが、主人公や彼を取り巻く環境には継続性があるため、「どちらの作品も読んでみたい」という方には、『探偵ガリレオ』から紐解かれることをお薦めします。

『さいえんす?』、科学の話題が多数盛り込まれたエッセイ集です。
「科学技術はミステリを変えたか」というような、推理小説ファンを喜ばせそうな話から、一転、「数学は何のため?」というような硬質な話まで、幅広い分野を対象にした話題が展開されて行きます。

「スポーツ」を題材にした作品――詳細案内
『魔球』は、プロ野球のスカウトからも熱い期待を寄せられる高校野球のエースを主人公にした作品です。
プロゴルファーの尾崎将司さんが優勝投手となった年を舞台にした物語ですから、中高年の方にも、セピア色の思い出を懐かしむ感覚で楽しんでいただけるかもしれません。

『鳥人計画』は、珠玉の本格ミステリですが、スキージャンプに興味がある方の入門書としても活用できそうな作品です。スキージャンプのアウトラインだけに留まらず、専門家をも首肯させる技術論が展開されています(ということです^^)。
文庫版の解説者は、ミステリ作家の黒田研二さんですが、本書を読んだ後で観戦した(長野五輪)ジャンプ競技の感慨はひとしおだったと語っておられます。冬季オリンピックの開催前にお読みいただいても楽しいでしょう。

『美しき凶器』は、ドーピングによって超人的な運動能力を得た七種競技の選手の復讐譚を綴った作品で、その対象となる4人の男女にも、不法な肉体改造が施されています。 つまり、アマチュアスポーツ界の暗部を描いた作品、ということになるのでしょうが、勝敗だけに一喜一憂する観戦者の姿勢にも一石を投じた問題作ではないかと思います。

『夢はトリノをかけめぐる』は、冬季五輪の魅力を余すところなく伝えたエッセイ集です。(一部に、あからさまなフィクションが含まれますが…)
第五章に記されたトリノオリンピック観戦記では、「誰も書かなかった(書けなかった?)トリノオリンピック」とでも称したいぐらいの、興味深い挿話、裏情報がぎっしりと詰まっています。

「家族愛」を題材にした作品――詳細案内
誰もが「天才」という表現を用いることに躊躇いを覚えない高校球児を主人公にした作品――、『魔球』の根底に流れるものは、悲しいばかりに強靭な家族愛です。
本作は、第30回江戸川乱歩賞の候補作にもなった本格推理小説ですが、ミステリはちょっと苦手、という方にも、満足いただける作品ではないかと思います。

第52回日本推理作家協会賞受賞、第120回直木賞候補作にもなった『秘密』には、家族愛・夫婦愛の機微が書き綴られています。
母親の精神が娘の肉体に憑依するという、お笑い小説を想像させるような設定ですが、そして実際に、序盤ではそうした傾向も見られますが、その趣きは徐々に変質して行きます。読了後は、あまりにも大きな感慨を持て余してしまう読者も少なくないでしょう。
本書は、1999年に映像化されました。原作者もゲスト出演しています。

『レイクサイド』は「お受験」を核に置いた物語ですが、作品全体からは、「家族愛」のあり方を問う、という雰囲気が漂っています。
本書も2005年に、『レイクサイド マーダーケース』という題名で映画化されました。

『トキオ』は、時空を超えて青年期の父親に会いに行った息子、時生の物語です。 尊敬して止まなかった父親が、とんでもなく情けない男だったものですから、息子は複雑な心境に駆られるのですが―。
タイムパラドックスを触媒にして、色々な形の家族愛が浮かび上がって来る作品なので、「家族で共有する一冊」としてお求め願えればと思います。
本書は2004年に、『トキオ-父への伝言-』という題名でドラマ化されました。
文庫化の際に改題され、現在のタイトルは漢字表記の『時生』になっています。

『手紙』には、複雑な様相を持つ兄弟愛が描かれています。
優秀な弟を大学に行かせようと無理を重ね、最終的には強盗殺人という大罪を犯してしまった兄。贖罪の意識はあるものの、目の当たりにする差別と偏見を前に、兄への憎悪を醸成して行く弟。
厳しい現実を背景に据えた物語なので、重苦しい読後感を想像されるかもしれませんが、感動的なエンディングが用意されていますからご安心のほどを―。
2006年11月に、映像化作品の公開が予定されています。

妻に先立たれ、男手一つで育て上げた娘が不慮の死を遂げた時、しかもその死因が、強姦目的で投与された薬物中毒だった場合、父親はどんな対応を取るものでしょうか? 『さまよう刃』の主人公は、自らの手で強姦犯を裁く手段――、復讐を選択しました。
読み手の置かれた環境によって、読後感が大きく変化する内容だと思いますが、家庭・家族のあり方や重要性を再認識させてくれる作品です。

「恋愛感情」を題材にした作品――詳細案内
東野圭吾作品には、何人かのシリーズキャラクターが存在しますが、ファンの人気が最も高いキャラクターとなれば、やはり加賀恭一郎になるでしょう。 作者を直木賞ホルダーにした湯川学も魅力的な人物ですが、加賀には叶いません。
その加賀恭一郎の「恋」を描いた作品が、『眠りの森』です(加賀は、初出の『卒業-雪月花殺人ゲーム』でも、相原沙都子という女性に強い好意を示しましたが、その恋には、通過儀礼的な雰囲気も漂っていました)。
相手の女性はバレエダンサーですが、その後の二人がどうなったかは、今もって不明です。

『パラレルワールド・ラブストーリー』は、タイトルからも、「恋愛感情」を核にした作品であることが窺えますが、その内実はやや複雑です。主人公が愛した女性は、親友の恋人だったのです。
主人公はとても古典的な命題に悩むことになりますが、それを収束に導いたのは近未来の科学でした。
「何それ!全くもって意味不明!」と思われた方は、是非、本書をお読みください。半端なネタバラシをしなかったことを、喜んでいただけると思います。^^

『片想い』には、色々な形の恋愛模様や「片想い」が綴られています。
本書は、性同一性障害をテーマにした作品ですから、そこに描かれる恋愛は、男女間のものばかりではありませんが、このタイトルには、更に大きな意味が込められています。
本書は、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」の施行前に上梓された作品で、第125回直木賞候補作にもなりました。

「ネタ本」に転用できる作品――詳細案内
東野作品には、ネタ本に転用できそうな内容を持つものも少なくありません。
新書やハウツー物よりは、「あ、それ知ってる。○○に書いてあったよね」という突っ込みを受ける可能性が低いのではないかと―。^^

狭義の推理小説には、幾つかの専門用語と定義が存在します。
そんなものを知らなくてもミステリの面白さは堪能できますし、寧ろ、なまじな知識があるために面白みが減殺してしまう可能性もありますが、「基本的なことぐらいは知っておきたいな」とお考えの方は、『名探偵の掟』をお読みください。
例解ミステリ辞典と呼べそうな構成になっていますから、読む楽しみと知る楽しみを同時に味わえます。

『探偵ガリレオ』は、作者の「自分の持っている理系の知識を駆使して小説を書いてみたい」という思いから生まれた作品です。
「アルミ片・黒い皮膜に覆われた電気コード・長さ1メートルほどの軽量鉄骨があります。そこに何を足せばデスマスクができるでしょう?」なんて設問も、本作を読めば、易々とひねり出せるようになるでしょう。(使い方を間違えれば、場の空気を凍り付かせそうですが…)

『予知夢』は、『探偵ガリレオ』の姉妹作ですが、科学的な難度は引き下げられています。
運動会の『綱引き』で、「腰を落とせ」と指導された人をガックリさせそうな挿話など(もしかしたら、「腰を落とせ」と教えた先生が頬を赤らめるのかも―)、身近な科学の興味深い応用法を学んでいただけるでしょう。

『さいえんす?』は、そのタイトルが示す通り、科学を核においたエッセイ集ですが、身近な人に「コレって、どう思う?」と持ち掛けたくなるような話題がぎっしりと詰まっています。
例えば、地震などの大災害が遭った時に真っ先に動くのは誰か?と尋ねられたら、あなたならどう回答なさいますか?
「政治家」「分からない」という答えの方は、是非本書をご覧ください。

『夢はトリノをかけめぐる』は、冬季オリンピックの指南書としてご活用いただきたい作品です。
「競技名は知っていても内容までは…」というような種目の詳細が紹介されています。のべつ幕無しに使えるネタではありませんが、冬季五輪の前なら、周囲に人だかりができるでしょう(多分)。

エッセイ集――詳細案内
本格ミステリ・ファンタジーロマン・社会派小説・諧謔物語etc、多様な作風で読者を魅了する東野圭吾さんのこと、作品ではなく、作者本人の人間ドラマを覗いてみたい、と思われる方も少なくないでしょう。

『あの頃ぼくらはアホでした』には、作家デビューするまでの詳細が綴られています。自虐ネタを散りばめた爆笑エッセイ集ですが、『白夜行』の素地を作った世界観が垣間見えたりと、多岐に渡る魅力に包まれた内容になっています。

『ちゃれんじ?』は、スノーボードの話題が中心になったエッセイ集ですが 雪山が大好きなミステリ作家さん達との交遊録、『レイクサイド マーダーケース』撮影現場訪問記など、趣向の違う話題も収められています。
黒田研二さん・貫井徳郎さんのファンの方にもお読みいただきたい作品です。

『あの頃ぼくらはアホでした』・『ちゃれんじ?』が「笑い」を基調に展開されて行くのに対し、『さいえんす?』では、現代社会を「真摯」な姿勢で見つめる作者の様子が伝わって来ます。
エッセイ集には食指が動かないという独身女性の方は、「少子化対策」の章を立ち読んでください。
東野さんはクサルでしょうが、日本が救われる、かもしれません(笑)。

『夢はトリノをかけめぐる』は、トリノオリンピックにまつわるあれやこれやが綴られたエッセイ集です。
直木賞受賞秘話(?)や、作者が長旅に携帯した書籍の話など、興味深い話題が満載されていますので、五輪に興味がない方にもお楽しみいただけるでしょう。

ジュブナイル――詳細案内
『おれは非情勤』は、学習研究社発行の雑誌に掲載された作品を一まとめにした短編集です。

正確を期せば、完全なジュブナイルではないので、先ずはその点から―。
本書の収録作の内、「6×3」・「1/64」・「10×5+5+1」・「ウラコン」・「ムトタト」・「カミノミズ」は、学習研究社発刊の『5年の学習』・『6年の学習』に連載された作品を、オリジナル文庫化の際に加筆訂正したものです。
従って、ジュブナイルというよりも、大人にも子供にも楽しめるコージーミステリという雰囲気に仕上がっています。
「放火魔をさがせ」・「幽霊からの電話」は、正真正銘のジュブナイルです。
大人向けの作品よりもパズル的要素が強いため、トリックの難度が高い作品集、という印象を持たれる方も少なくないでしょう。

絵本――詳細案内
サンタのおばさん 杉田比呂美さんのイラストに乗せて綴られて行くその内容は、ジェンダーフリーをテーマにしたものです。
2001年に刊行され、第125回直木賞候補作にもなった『片想い』の作中話――『サンタのおばさん』が、絵本という形で独立しました。
但し、『片想い』で紹介されたものとは、内容が異なります。

クリスマスイブを目前にして開催されたサンタクロース会議では、女性サンタクロースを承認するか否かで大騒ぎになりますが―。

クリスマスのプレゼントとしても喜ばれそうな作品です。

短編小説・連作短編小説――詳細案内
色々な楽しみ方ができる短編小説・連作短編小説ですが、ここでは、「東野圭吾作品にも手を伸ばそうかな?」とお考えの方の参考資料になるよう、タイプ別に分けて紹介させていただきます。

  • 「お笑い小説」をまとめた短編集
    『怪笑小説』『毒笑小説』『黒笑小説』は、そのタイトルからも容易に想像できますが、「お笑い」を核に置いた短編集です。
    「感動したり泣いたりするスイッチと笑いのスイッチはとても近いところにある」という作者の「お笑い小説」は、腹を抱えて笑い転げるという状態に至らず、寧ろしんみりとなってしまう場合も少なくありませんが、独特の可笑し味を堪能していただけるのではないかと思います。
  • 自虐ネタを諧謔で包み込んだ短編集
    『名探偵の掟』『超・殺人事件 推理作家の苦悩』も、「お笑い小説」としての色彩が強い短編集ですが、作者自身を題材にしているのではないかと思わせる記述が多数登場します。
  • 「東野圭吾作品に初挑戦」という方に是非お読みいただきたい短編集
    『犯人のいない殺人の夜』『怪しい人びと』は、東野圭吾作品の魅力をダイジェスト版にしたような短編集です。多才な作家の多彩な作風を一気に楽しめる作品集ですから、「東野圭吾作品に初挑戦」という方にお薦めたいと思います。
  • 女性主人公が活躍する連作短編集
    『殺人現場は雲の上』『浪花少年探偵団』『浪花少年探偵団2』で活躍する主人公の職業は、東野圭吾さんの二人のお姉さんが就いていた職業でもあります。身近な人物の世界を描くため、作者には「ネタに困らないだろう」と思惑があったようですが、読者には、仕事を持つ女性がイキイキと描かれているところが魅力的な作品集です。
  • 男性主人公が活躍する連作短編集
    『探偵ガリレオ』『嘘をもうひとつだけ』『予知夢』『おれは非情勤』は、個性的な男性主人公が活躍する連作短編集です。
    『探偵ガリレオ』・『予知夢』・直木賞受賞作である『容疑者Xの献身』は、物理学者湯川学を主人公にしたシリーズ物ですが、作品の持つ雰囲気は大きく異なります。『容疑者Xの献身』が人間ドラマをメインに置いた作品であるのに対し、『探偵ガリレオ』・『予知夢』は本格物の色彩が強い作品に仕上がっています(作者は、『探偵ガリレオ』・『予知夢』の湯川学を、短編の「謎解き装置」と称しています)。
    『嘘をもうひとつだけ』は、湯川以上の人気を誇るシリーズキャラクター、加賀恭一郎の活躍を記した連作短編集です。
    『おれは非情勤』では、小学校の非常勤講師が、勤務先で起こった難事件を、快刀乱麻を断つ勢いで解決して行きます。ジョブナイルですが、大人が読んでも楽しい連作短編集です。
  • 「謎解き」を楽しむ短編・連作短編集
    『依頼人の娘』『交通警察の夜』は、本格ミステリの面白さを堪能できる短編・連作短編集です。人間ドラマの機微が巧みに盛り込まれていることから、両作共、テレビドラマ化されています。