原作と映像化作品の比較
東野圭吾さんの作品には映像化されたものが少なくありません。(内容を確認なさりたい方は「映像化作品一覧」をご参照ください)
その理由については、東野さん自身が以下のように語っています。

  • 映画製作に、脚本を含めて口出ししない。
  • プロの方に任せる以上、よい作品に仕上げてもらえると信じているので、自由に作ってもらえば良いと考えている。
  • 著作権料が安い。
  • 書く時に自分自身が映像を思い浮かべながら書いているので、逆に映像関係の方が読んだ時に映像が浮かびやすいのかなとは思うが、実のところは分からない。

東野さんの真意がどこにあるかは分かりませんが、出来上がった作品は「自由に作ってもらえば良い」と言葉が最大限に生かされた内容になっています。

以下では、有料という鑑賞形態を取った映像化作品と原作の相違点を紹介しています。 未読の方、未鑑賞の方に配慮した記述を心掛けましたが、書籍やDVDの購入を検討されている方には不適切と思われる表現が含まれますので、予めご承知おきください。

映画版「秘密」
タイトル名:秘密
原作:東野圭吾
監督:滝田洋二郎
製作・配給:TBS/東宝株式会社
出演:小林薫(杉田平介)/岸本加世子(直子)/広末涼子(藻奈美)/金子賢/石田ゆり子/伊藤英明
主題歌:「天使のため息」竹内まりや

原作からの変更箇所

  • 杉田平介に関して:原作では自動車部品メーカーの生産工場に勤務していたが、映画版では食品メーカー勤務の研究員。
  • 直子に関して:原作にはない「癖」を持っている。
  • 藻奈美に関して:事故当時の藻奈美は、原作では小学5年生だが、映画版では18歳の高校生。
  • バス会社の社名に関して:原作では大黒交通だったが、映画版では東鉄呉波観光バス。
  • 被害者の会の補償交渉に関して:原作では、謝罪を行ったのは運転手の妻である梶川征子だったが、映画版では息子の文也。
  • 梶川文也に関して:原作とは大幅に異なる人物設定になっている。
  • 藻奈美と相馬春樹の交際に関して:原作とは大幅に異なる状況設定になっている。
  • 結末に関して:原作とは大幅に異なる状況設定になっている。
  • 変更度指数★★★☆☆
  • もっと詳しい事情を知りたい場合ネタバレ詳細ページに進む
映画版の「秘密」は、原作よりも明るい雰囲気になっています。コミカルなシーンも数多く登場します。
登場人物の設定にもかなりな変更箇所がありますが、119分の長さでまとめるには致し方のない措置だったでしょう。
映画版「ゲームの名は誘拐」
タイトル名:g@me.
原作:東野圭吾
監督:伊坂聡
脚本:尾崎将也
音楽:松原憲
製作・配給:フジテレビ/東宝株式会社/電通
出演:藤木直人(佐久間俊介)/仲間由紀恵(葛城樹理)/石橋凌(葛城勝俊)/宇崎竜童/IZAM/ガッツ石松
主題歌:「it's all a game」ZEEBRA

原作からの変更箇所

  • 佐久間俊介に関して:生い立ちが改変されているが、原作のイメージに忠実な設定になっている。
  • 葛城樹理に関して:プロフィールに変更がある。また、原作よりも良質な人物として描かれている。
  • 葛城勝俊の職業に関して:原作では自動車販売会社の副社長だが、映画版ではビール会社の副社長。
  • 誘拐の方法に関して:設定の一部が省略された。
  • 結末に関して:原作とは大幅に異なる状況設定になっている。というよりはむしろ、全く別の作品になってしまっている。
  • 変更度指数★★★★☆
  • もっと詳しい事情を知りたい場合ネタバレ詳細ページに進む
IZAMさんは、原作にはない役を演じています。
重要な役どころではあるのですが…。
映画版「レイクサイド」
タイトル名:レイクサイド マーダーケース
原作:東野圭吾
監督:青山真治
脚本:深沢正樹/青山真治
製作・配給:フジテレビジョン/東宝株式会社
出演:役所広司(並木俊介)/薬師丸ひろ子(並木美奈子)/柄本明(藤間智晴)/黒田福美(藤間一枝)/鶴見辰吾(関谷孝史)/豊川悦司(津久見勝)
主題歌:「Simple Days 〜 Walking The Distance」

原作からの変更箇所

  • 並木俊介に関して:映画版の並木は、原作にはない「目のトラブル(病気?)」を抱えている。それが、その後の展開にも影響を与える。
  • CASTに関して:原作では4組の家族が登場したが、映画版では3組。また、原作では受験合宿に参加した子供は全員男児だったが、映画版では並木夫妻の子供は女児になっている。
  • 途中の展開に関して:映画版では、原作にはない「津久見講師による模擬面接」等が付加されている。映画版では、津久見講師の登場頻度が高い。
  • 結末に関して:大筋では原作に添った内容となっているが、細部では幾つかの改変が行われている。
  • 変更度指数★★☆☆☆
  • もっと詳しい事情を知りたい場合ネタバレ詳細ページに進む
映画版では受験問題に焦点を絞った取り組みになっていました。
薬師丸ひろ子さんをもう少し素敵に描いて欲しかったかも…。
WOWOWドラマ版「宿命」
タイトル名:宿命
原作:東野圭吾
監督:若松節朗
脚本:佐伯俊道
製作:WOWOW/講談社
出演:藤木直人(瓜生晃彦)/柏原崇(和倉勇作)/本上まなみ(瓜生美佐子)/飯島直子(日野早苗)/中村賀津雄(松村顕治)/手塚理美(内田澄江)
主題歌:「シュクメイ」藤木直人

原作からの変更箇所

  • 瓜生晃彦に関して:原作では和倉勇作が主役だが、WOWOW版では瓜生晃彦に視点を持たせ、彼を主役にした。
  • 和倉勇作に関して:WOWOW版和倉勇作は、原作よりも粗暴に描かれていた。
  • 早苗さんに関して:原作の早苗さんは中国の唄を口ずさんでいたが、WOWOW版では「どんぐりころころ」「歌を忘れたカナリア」等の、日本の童謡を歌っていた。
  • 途中の展開に関して:殺人事件は、原作よりもかなり簡略化された構成になっていた。(謎解きの部分は捨てているという印象があった)
  • ラスト10ページの展開に関して:場所が変更されていた。
  • ラスト一行に関して:原作では多様な解釈が可能であったが、WOWOW版では特定の方向性を提示した。
  • 変更度指数★★☆☆☆
  • もっと詳しい事情を知りたい場合ネタバレ詳細ページに進む
脚本家の方は東野圭吾さんのファン?と思えるような、原作者への配慮が行き届いた作品でした。
映画版版「変身」
タイトル名:変身
原作:東野圭吾
監督:佐野智樹
脚本:よしだあつこ
製作:変身製作委員会/講談社
出演:玉木宏(成瀬純一)/葉村恵(蒼井優)/北村和夫(堂元博士)/松田悟志(京極瞬介)/釈由美子(京極亮子)/佐田真由美(橘直子)/山下徹大(若生健一)
主題歌:「蒼い花」拝郷メイコ

原作からの変更箇所

  • 成瀬純一に関して:原作のイメージに忠実な設定になっている。
  • 葉村恵に関して:原作のイメージに忠実な設定になっている。
  • 堂元博士に関して:原作では、科学者特有の独善性はあるものの、一個人としては誠実な人物として描かれているが、映画版では、傲岸で、やや下卑た人物として描かれている。
  • 途中の展開に関して:原作の純一は自分に起こった奇禍を認識しているが、映画版ではその記憶が欠落している。
    また、ドナーに関する調査の部分が省略されている。
  • 結末に関して:状況が変更されている。
  • 変更度指数★☆☆☆☆
  • もっと詳しい事情を知りたい場合ネタバレ詳細ページに進む
省略箇所・変更箇所はあったものの、原作のイメージを尊重した作品になっていると感じました。
パンフレットに寄せられた作者の言葉の中に、「よくぞここまでやってくれた」という表現がありますが、これは、社交辞令ではないと思います。